クリムゾン・ラヴ (ページ43)

今日:137 hit、昨日:162 hit、合計:74,582 hit

43 ページ43

「Aちゃんと1回話してみたかったんだよね。
このあと時間ある？」

「あー…。」

きっとテヒョン、怒るよね。

ましてや男の人だし。

「…ごめんなさい。ちょっと予定があって。」

「そっかー、残念。」

そういうとジミンさんは

またにっこり笑った。

「じゃあちょっとだけ立ち話してもいい？」

「あぁ、そのくらいなら…。」

ジミンさんの声は暖かくて、優しい声をしている。

ここ1ヶ月ぐらいテヒョンの声ばかり聞いていたから、なんだかすごく新鮮だった。

なにか怒られるのかな、と身構えたけど

ジミンさんの口から出た言葉は、それとは正反対のものだった。

「あのさ、あいつAちゃんと付き合う前はホントに遊んでばっかで…ちょっと心配だったんだよね。

でもAちゃんと出会ってからはそういうのも無くなって、ちゃんと大学にも来てるし、なんとなく毒が抜けて穏やかになった気がして…。まぁ、Aちゃんにぞっこんだから飲みにいく事とか減ってちょっと寂しいけどね。

俺、ずっとAちゃんにお礼が言いたかったんだ。
テヒョンと付き合ってくれてありがとう。
これからもあいつのこと、よろしくね。」

まさか、お礼を言われるなんて思ってなかった。

予期せず言われたふいの優しい言葉に

鼻の奥がツンとする。

あれ…？なんで私、泣きそうになってるんだろう。

「え！ごめんっ、泣かせるつもりはなかったんだけど…！」

「いえ…っ。自分でも…、わかんなくてっ、ごめんなさい…っ。」

涙を何度も拭うけど

それでも流れてくる涙は止まらなくて

ジミンさんにポケットティッシュを借りる始末。

「またどこかで会えたらいいね。
じゃ、気をつけて帰ってね。」

ジミンさんと別れ、今度こそ帰路につく。

まだ9月で嫌な暑さが続いてるけど

私の心は、春の陽だまりのような暖かさに包まれていた。

.

背中にあたる、エアコンの効いた冷たい床。

両手は頭の上で押さえつけられていて、動かせない。

「ねぇ、ジミンと何してたの？」

私を見下ろすテヒョンの目は、氷みたいに冷たかった。