クリムゾン・ラヴ (ページ39)

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「そんなことないよ…！
本当にジアンと夜ご飯食べに行くだけだから…。
2時間ぐらいで帰ってくるよ？」

テヒョンはじーっと私を見つめたまま

言葉を返さない。

「…わかった。行ってきていいよ。」

「うん…！テヒョン、ありが」

「その代わり、今からAのスマホ、俺に渡して？」

今思うと

テヒョンがおかしくなってきたのは

この頃からだったんだと思う。

テヒョンから差し出された手のひらを見つめる。

え、彼女だからって

彼氏にスマホの中身なんて、見せなきゃいけないものなの？

「は、なんで…」

「Aには俺がいればいいでしょ？
俺以外の人の連絡先、いる？」

「テヒョン、なにいってんの…？」

「俺を不安にさせたくないんだったら、早くスマホ渡して。」

テヒョンの切れ長の鋭い目が私を捉える。

ゾクッと

背中に悪寒が走る。

…え、なに、今の

彼氏を "怖い" って思うの

これって、普通なの？

「…わかった。明日、行かない。
…から、友達の連絡先は消さないで…。」

「ん。わかってくれればいいよ。
俺も本当はこんなことしたくないから。ね？」

私がそう言うと

テヒョンはさっきまでの表情とは打って変わって

にっこりと笑った。

好きな人と一緒にいる時って

あったかくて、心地よくて…

そんな雰囲気に包まれてるものだと思ってた。

だって、

先生と一緒にいる時には

いつも…そんな空気が流れていて、幸せだったから。

でも、さっきのテヒョンは…

「A。」

「！！
な、なに？」

「早くご飯食べよ？
冷めちゃうよ。」

「そ、そうだね！
食べよっか。」

先生のことを考えていたのを悟られないように

テヒョンと目を合わせられないまま、椅子に座った。