クリムゾン・ラヴ (ページ3)

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「…あ、分かった。照れてる？」

「照れてません」

「キスしてあげよっか？」

「………」

冗談混じりでそう言うと

Aちゃんは無言で俺の手をどけて

席を立った

そして、どこかに歩いていってしまう

「ご、ごめんごめん！冗談だって！」

慌てて俺も後を着いていく

俺がその背中に声をかけても

立ち止まる気配はない

「Aちゃんっ」

彼女に追いついた俺は

腕を掴む

振り向いた顔は

冷めた目で、俺の事を見た

焦ってるのを隠すために

その冷たい顔に対抗するように

笑顔で話しかける

「どこ行くの？」

「はぁ……」

迷惑だというのをアピールするかのように

ため息をつかれる

あれ？

俺、なんでこんな必死になってんの？

「ただのお手洗いです。気分が悪くなったので」

「あー、酔っちゃった？」

「酔ってません
……あれ？」

急に、Aちゃんが俺の顔を見つめてきた

___ドクン、ドクン

無意識に、鼓動が速くなっていく

俺を見つめる彼女の顔は

すごく

すごく、綺麗だった

「あの、私たちって
どこかで会ったことありますか？」

「え？」

「なんか、初めて見たような気がしなくて…」

「俺、今日初めてAちゃんに会ったよ」

「そう……ですか…」

「ねぇ、さっきみたいな冗談言わないから
あっち戻ろ」

「私、あなたみたいな人
嫌いです。
あなたに好きだの可愛いだの言われても、嬉しくないです」

「……」

「作り笑いして、わざとバカみたいに振る舞って、
やめてくれませんか」

「……！」

感情的になった女の子から

嫌い！！とは言われたことがあるけど

こんな無感情で、淡々と

俺の目を見ながら

嫌いなんて宣言されたことなんて

初めてだった

こんな心に刺さってるのは

嫌いだと言われたからじゃない

その言葉を俺に向けて言ったのが

Aちゃんだから
　

俺は、こんなにショックなんだ