クリムゾン・ラヴ (ページ11)

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「痛っ……いってば……っ！」

痛そうに顔を歪めて

振り払った彼女の腕は

真っ赤になっていた

「ち、違うの……っ」

「……」

「ね、テテ……っ…
あたし達……やり直そ……？そしたら……っ」

「……」

動揺してるのか

その声は、とても震えていた

テヒョンさんは、床に落ちたカッターを拾うと

女の人の前に突き出す

「Aちゃんにこれ以上近づいたら
俺が今すぐサランを殺すけど」

「……っ…」

「そんなに死にたい？」

そう言われた女の人は

顔を青ざめながら

私の前から後ずさっていく

「なんで…
なんでこの子なのよ…！！」

そう叫んで

逃げるようにして、女子トイレから出て行った

　

「……はぁ…っ…」

その途端

体の力が抜けて

壁に背をつけたまま、その場にへたり込む

「Aちゃん！！」

ハッとして、振り向いたテヒョンさんは

力強く、私を抱き締めた

「ごめん……っ……俺のせいで…」

「……大…丈夫です…
ただ……びっくりした、だけで……」

「でもAちゃん、震えて……」

そう言って、体を離して

私の顔を見たテヒョンさんは

言葉を言いかけたまま

何かを見て、固まった

「……？
テヒョン…さん……？」

「……っ…、」

　

急に様子がおかしくなった

テヒョンさんの顔を見てみる

目が合わない

私を見てなかった

…何を、見てるの……？

その時、私は

襟元が、首筋から伝う血で

赤く濡れていることに気づいた

「…血………？」

もう一度

テヒョンさんの、目を見る

「……」

テヒョンさんの視線の先にあったものは

私の首筋から流れ出ている

血だった