雪が降る街、この海で君と。【完】

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……ザ…ン


お天気コーナーのお姉さんは、意地が悪いよ。
雪なんてひとつも降ってない。
今日は、最後の日だっていうのに、この海で雪を一緒に見ることができないなんて、
もしかして、俺の前世はとんでもなく罪人だったのかもしれないな。
落ち込むAをなだめる。



『ずっと、一緒にいたいな』



そうAが言葉を漏らすから。
もう、どうしたらいいかわからなくなった。
しまいに、いままで見せなかった涙を、Aの前でこぼしてしまうんだから重症だ。



｢……おれも、いつもそう、思ってる……｣



……思っているのに、
もう、お別れなんだよ、A。
離れたくない。離したくもないんだよ。

Aはおれを小さな身体で抱きしめて、背中をさする。

この温もりにずっとずっと、
出来ることなら、死ぬまで包まれていたかった。



＊＊＊



Aが寝付いて、荷造りをして、
手紙を書いた。

悔しいけれど、Aの幼馴染に手紙を預けることにした。……受験生は学校休んじゃダメだから。



封筒には
"ジミンさん、Aをよろしくおねがいします"
そう記して。



ね、A
Aはおれとおなじで寂しがり屋だから、おれがいなくなったら泣いちゃうでしょう？
いまはすこしだけ泣いてもいいけど、絶対にひとりで泣かないで。そして、いつかはわらって。
俺のいちばんの願いは、
"世界でいちばんしあわせでいて"
ただそれだけなんだ。
Aが幸せだと感じられれば、
おれはもうなにも思い残すことはないよ。
……って死んじゃうひとみたいだね。
クサイ言葉ばかりだけど、すべて本当のこと。
あいしてる、A

……小さな唇にそっとキスを落とした。





RRR……



｢……もしもし｣

NJ｢……グギ、行けるか？｣

｢うん、行こう。ヒョン｣







人生なんて、人間なんてくだらない、そうずっと思って生きてきた少年Jは、
やさしさを知ってしまった。
いとしいひとの温度を知ってしまった。
愛を知ってしまった。

だけど、もう全部、さよなら。



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