冬の香りが近づく前に (ページ9)

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Episode9 ページ9

〈Hoseokside〉
「ホビヒョン。僕、気持ち伝えました。
　
　ヌナ、僕の気持ちを受け止めてくれた。

　そして、ヌナへの恋愛感情を終わりにしました。

　ヌナを好きで良かったって思えました。」

「そうか。ジョングク。今辛いだろ。泣いていいよ。」

「ヒョンっ。僕、辛いです。」

ジョングクは泣きながら俺に言った。

なんだか、初めてジョングクが俺にAの事

言ってきた時みたいだな。そう思いながら

ジョングクの背中をさすっていた。

俺は、ジョングクがAの事好きなの
　
知ってた唯一の人間だった。

ジョングクは最初から叶わない恋だって悟ってたんだ。

僕に最初相談した時ジョングクは、

『絶対相談しても解決しないことなんですけど。』

って涙目で言ってきた。

それまで弱さを見せなかったジョングクの

弱いところを初めてみた気がした。

ジョングクが俺にAのことを

相談するときは、たいてい涙目か思い詰めた顔。

それくらいジョングクは本気だった。

それでも叶うことのない恋がある。

それがAとの恋だった。

ジョングクは必死に気持ちをなかった事にしてた。

そんなことしても、なかった事にできるわけでもなく。

だからジョングクは、気持ちを伝えて終わりにした。

相当怖かったと思う。

もしかしたら、これまでの関係が壊れるかもしれない。

そんな危険があってでも伝えたジョングクは凄い。

なんて考えていると、ジョングクが

俺のベッドで泣き疲れて眠っていた。

「ジョングク。ほんとすごいよ。
　
　Aへの気持ち、終わりにできて楽になったか。
　
　ヒョンはジョングクを尊敬する。お疲れ様。」

A。ジョングクの分も
　
　幸せになって、救ってやれよ。