冬の香りが近づく前に (ページ1)

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Episode1 ページ1

「会いたい。」

【僕も会いたい。】

嘘つけ。この前長期休みあったけど帰って

こなかったの知ってるぞ。どうせ

遊んでたんでしょ。遠距離辛すぎ。

ー2年前ー

「留学？急に？」

「うん。アメリカに2年間。ごめん。」

バレンタインデーの5日後の2月19日。

ジミンオッパから突然留学を知らされた。

「毎日電話する。ビデオ通話もしたい。
　
　絶対毎日連絡はしたいな。

　A、浮気はダメだよ？」

「分かってるって。でも、ジミンオッパ

　モテるから、そっちこそダメだよ？」

この時はまだ分かってなかった。

遠距離の辛さが。大丈夫だと思ってた。

「A。行く前にハグして？」

「ん。ぎゅ〜」

「う〜グスンっ。Aと離れたくないよ〜。

　一緒にいたい。」

「私だって一緒にいたいけど、

　オッパが行くって決めたんでしょ」

「そうだけど〜泣。」

肩がオッパの涙でじんわりと濡れた。

涙を抑えながら、温もりを噛み締めた。

「Aっ絶対僕は別れないからね。」

「私も別れる気ないから。

　行ってらっしゃい。ずっと待ってる。」

「行ってきます。待っててね。」

「もちろん。バイバイ。」

空港でどんどん遠くなるオッパの背中に

ずっと手を振っていた。

「なんか永遠の別れみたいだな…」

そう呟くと、涙が溢れ出した。

いなくなって初めて辛さを知ったんだ。

離れて分かる君の大切さ。
　
　今、よくよく分かったよ。