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「いつ返せばいい」
「ビニール傘なのでそのままで構いませんよ」
お気をつけて、と中に戻った寵蛇。
本当に覚えていない様子だ。ありがたいような寂しいような 複雑な感情がわき起こる。
「帰るか、小夜」
「にゃあん」
雨はさっきの今で土砂降りになっていて帰るころには足元がずぶ濡れになるのは容易に想像出来た。
小夜が濡れないようにキャリーを胸のあたりで抱え、水たまりだらけで水の跳ねる駐車場を進み出した時だ。
「うげっ すげぇ雨じゃねえか!車までにびしょ濡れになっちまうよ」
「傘が足りませんね……シートもありませんし」
数歩進んだところでそんな声が聞こえて思わずため息をついた。手のかかる弟妹だ、長幸はまだ中なのだろうか。
「傘を返す」
「え、」
「この雨は冷える、爬虫類に寒さは命取りだろう」
小夜のキャリーをコートで包み 差したままの傘を寵蛇に半ば押し付けて土砂降りの中を駆け出す。
一瞬あった剛保の目は見なかったことにした。
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作者名:クヴァール&くろのちか x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2019年7月25日 20時