7.Girl_微笑み ページ7
彼は多分、私だから話したわけじゃないと思った。誰かにこの気持ちを聞いてほしくて、返事がほしいわけでもなく、ただ頷いて共感して同情してほしかっただけだと。
だから私は共感するために、自分の身の上話をした。いつでも独りでいること、愛情が優しさが温もりが分からなくなったこと、今日とうとう全てに嫌気がさしてしまったこと。
彼はその間もずっと、月を見ていた。彼の瞳には確かに月は映っていたのだけれど、ただ、ぼんやりと映っているだけで、その瞳に感情というものは感じなかった。
そのまま、時は過ぎていった。かれこれ30分近くずっと無言のままだったのに、気まずさを感じなかった。彼と一緒に座って、規則正しく波打つ波を見ていたら、もうなんだか自分の考えていたことがちっぽけだったような気がしてきた。
……おばあちゃんも心配してると思うし、私帰る。
そう言って立ち上がる。彼に背を向けると、私の右手がぱしっと音を立てて掴まれる感触がした。何事かと急いで思い振り向くと、私の右手を左手で掴んだ彼が不思議そうな顔をしていた。
なに、と問うと、帰っちゃうの？と。帰るよ、と返すと、ここに死にに来たんじゃないの？と。なんて物騒なことを言うんだ、と思ったけど、確かにそれはそうだった。少なくとも30分前の私は。
だけど彼と時間を共にしてから、心の中で密かにまだ自分の将来に希望を抱いている自分がいた。初めは気づかないつもりでいたのだが、だんだん、無視が出来なくなってしまった。見て見ぬふりが辛くなってしまった。
まだ、生きたいから。また今度にするよ。
そう言うと彼は、そっか、とそれだけ言って少し俯いた。そして掴んでいた手を優しく離して、じゃあ僕もまた今度にするよ、と優しく微笑んだ。
あれから、彼とは会っていない。
でも、彼が初めて見せた感情が、あの微笑みが、私の心からずっと離れないでいた。
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gumi - ルリアさん» お返事遅くなって申し訳ありません;; 今日は休みだったのでたくさん更新できました^^ はい！頑張ります！ (2019年7月7日 17時) (
レス) id: 0228b74d8d (このIDを非表示/違反報告)
ルリア(プロフ) - うわぁ！たくさん投稿してくれてありがとうございます！どんどん話が進んでって楽しくなっているのでこれからも頑張ってください！ (2019年6月16日 11時) (レス) id: c7ec6efbc7 (このIDを非表示/違反報告)
gumi - ルリアさん» わぁー！ありがとうございます！嬉しいです！はい！更新頑張るので楽しみに待っていてください^^ (2019年6月16日 3時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
ルリア(プロフ) - すごく面白いので、もっと投稿して欲しいです！頑張ってください！ (2019年6月15日 22時) (レス) id: c7ec6efbc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：gumi | 作成日時：2019年6月15日 16時
