木刀振り回したら蛞蝓に直撃した。【中原中也】【紺の時代】

くだらない ページ19

『其れは私の犬ですか？』


「いいえ。中也の馬です」


『私に其の犬をくれませんか？』


「無理です」


『何故ですか？』


「僕と中也は喧嘩中だからです」


『なら私が其の犬を中也に渡しておきます』


「ありがとう。この馬の名前はフライです」


『素敵な名前ですね』


「競馬でフライングをするのでフライです」


『判りました。では、貴方の後ろに居るのは誰ですか？』


「僕の後ろには誰も居ません」


『知らぬが仏ですね』


「はい」










「何この会話」


『あ、中也おかえりー』


中也の執務室にはビワと太宰が居た。


『【突っ込んでファルトニー！】読んでた』


「は？」


ビワの手には、背表紙に【突っ込んでファルトニー！】と書かれた本が在った。


「否、如何云う本だよ」


『日本語を勉強するファルトニーのお話』


此奴等の人生の方向性が判らなくなってきた。


「何で其の本なンだよ」


『何かポストに入ってたから、勉強会しよー、って』


「ポスト？」


一瞬の沈黙の中に、不吉な音が響いた。


__________カチ。


『､､､､､､､かち？』


__________カチ。


「何か聞いた事有る音だなぁ」


__________カチ。


「､､､､､､､あ」


__________カチ。


『どしたの？』


__________カチ。


「､､､､ドッカンだわ」


__________カチ。


『あー､､､､､』


__________カチ。


「其れかぁ」


__________カチリ。



















どっかぁん。

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