悲しい夢 ページ10
あれから十分ほど経ってからAは目を覚まし、体を起こしてから軽く首を横に振った。起きたばかりで頭がボーッとしているのか、目をキョロキョロとあちこちに向けている。
「目は覚めましたか？ずっと寝ていたのですよ」
『……ああ、なんかごめんね』
何も謝られるようなことはされていないし、してもいないイングリットは「い、いえ…」という返事しか見つからずに目を丸くしたまま口を開いた。よく見るとAの顔色があまり良くなく、張り詰めた表情で机を見つめていた。
「大丈夫かA。顔色が良くないが」
『大丈夫。嫌な夢を見ただけだから……』
ハァ、と盛大なAのため息のあとにガタンと椅子がずれる音が聞こえて、Aは視線だけを横に滑らせた。どうやらフレンも起きたらしく、先生の肩に預けていた頭を起こしてハァ、ハァ、と呼吸をしていた。Aよりも顔色が悪く、汗ばんだ体をしているフレンに先生は声をかけるが、フレンは大丈夫と言って水を飲んだ。
落ち着いたのか、息をついて「心配をかけてしまってごめんなさい」と言ってAを見つめた。Aはフレンの視線に気づいて、一瞬目を細める。フレンが何かを目で訴えているような気がしたが、何を訴えているのかまでは分からない。
しばらく見つめあっていた二人だが、フレンが先に口を開いて「Aさん」と言い、申し訳なさそうに眉尻を下げていた。何故そんな悲しそうな表情をしているのか分からないままAは『何？』と問いかける。
「Aさんは、私たちを裏切ったりしないと、約束して下さる？」
『……私がフレンたちを裏切るような人物だと？』
「そうじゃありませんわ。Aさんではなかったのですけれど、私の姉のような存在だった方が裏切ってしまう夢を、見てしまったんですの」
どうやらその姉のような存在の人がAに似ていたからそんなことを口走ってしまったらしい。人というのはトラウマに敏感で、中々克服できない生き物である。かつて愛していた人を殺してしまった時のことを忘れられないように。
『……私が忠誠を誓った主は一人だけだよ。だから、フレンとディミトリのどちらかを問われた時は迷いなくディミトリを選ぶ。フレンを裏切らないという保証は出来ない』
「……何があっても自分の信念は曲げない。そういうところは、どんなに時が経っても変わりませんのね…」
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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