初めてのプレゼント ページ9
そんな一面は一切感じられなくなり、今では冷徹な少女へと育ってしまったが、それでも今も昔も根は優しい子だということには変わりない。
「一つ気になっていた事があるのですが、Aの名前はどうやって決めたのですか？」
「ん？名前……どうやって決めたんだっけ……確か幾つか立候補が上がって揉めていた気がするんだけど」
うーん、と腕組みしながら首を傾げるジェミニを横目にメイアは「訓練しながら決めたと聞いてるけど」と問いかけた。それを聞いてようやく思い出したのか、ポンッと手を叩いて「そうだった」と答えた。
「名前をどうするか立候補は上がってたんだよ。でも中々決まらなかったから、小さな紙に名前を書いて矢に結びつけて、射ったあとに一番巻藁の中心に近い位置にある名前にしようって決めたんだ。それを射ったのはハルト様だよ」
「本人はハルト様に名前をもらえて嬉しそうに飛び跳ねていたらしいわ」
だから、お嬢さん呼びは好きじゃないと言ったのだろうか。ちゃんと名前があるのだから名前で呼んで欲しいのかもしれない。Aはほとんどの人をちゃんと名前で呼んでいるため、自分がされたい事を進んで人にしているのだろう。
「Aちゃんにとって名前が初めてのプレゼントだったから。Aちゃんに限らずそれは全員に該当するだろうけど」
名前は親に生まれて初めてもらう最初のプレゼントだ。ディミトリも、ドゥドゥーも、アネットも、アッシュも、全員が貰うものである。それを呼んでもらえず他人行儀な呼ばれ方をされてAは少なからず傷ついたはずだ。
「シルヴァンどの、お嬢さん呼びじゃなく、名前で呼んであげてよ」
「それだけで喜ぶと思いますよ」
この中で最も長い時間一緒にいる側近二人がそう言うので間違いではないだろう。努力はしているらしいが、対面してしまうと恥ずかしくて言えなくなるらしく、寝ているAには普通に「A」と呼べていた。
「……お、おう…」
頼りない返事を聞いたジェミニはやれやれ、と呆れ気味に微笑みながらシルヴァンを見つめたあと、その横でスヤスヤと安心して眠るAを見つめて「良かったね」と呟いた。
信じられる仲間が出来て、良かった。
もうあんな悲劇を繰り返すことはなさそうだ。
寝ているAに対して、ジェミニがそう思っていたなんて誰も知ることはなかった。
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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