課題:盗賊退治 ページ48
＊
一日というのは過ぎるのがあっという間で、何かに集中していたらすぐに過ぎてしまう。時間の感じ方は人それぞれだが、時はいつも一定に刻まれていた。そして早く感じているAは、もう準備万端で玄関ホールにスタンバイしており、級長であるエーデルガルトを待っている。
みんなは既に集合しており、残るは出発前にレア様に挨拶をしに行ったエーデルガルトとハンネマン先生のみだ。昨日さんざん寝たくせに眠たそうにあくびをするリンハルトや、引きこもりたいと言ってしゃがみこむベルナデッタ。化粧バッチリのドロテアに、真面目に待っているペトラとヒューベルトとモニカ。緊張している、というよりいつもと同じ様子でAは少し安心していた。
「お待たせ。さあ、行きましょう。目的地はフォドラの牙と呼ばれるアドラステア帝国の遥か南。リンハルトの家の少し西にある場所よ」
『盗賊絡みの案件だっけ？やっぱり、そういう類は王国内だけでなく帝国内でもあるんだね』
どこの国でも全ての場所が平和に、というわけにもいかず苦労しているようで、時期皇帝、時期国王となるエーデルガルトとディミトリはきっと将来大変になる事だろう。ただでさえファーガスの状況は帝国より治安が悪いというのに。
「なんだ、お前たちまだ行ってなかったのか。てっきりもう大修道院を遠く離れた場所にいるのかと思ったぞ」
「まだいて悪かったわね。それで、どうしたの？随分と息を切らしているようだけれど」
この場に走ってやって来たディミトリはエーデルガルトの言う通り息を切らしていた。額や手には汗が染み付いていて、何か急いでいる様子だ。エーデルガルトの問いに対して「実は」と口を開きかけると、その場にベレトが
「ディミトリ、行こう」
「あ、ああ、分かった」
？と頭にハテナを浮かべてばかりの二人にディミトリは早口で簡潔に事を伝えた。
「ルミール村の様子が一変したらしい。村人たちが互いに殺し合ってるらしく、村中が火の海に……話は帰ってから報告する！」
風のように去っていくみんなの後ろ姿を見つめながら、エーデルガルトは「私たちも行きましょう」と言って彼らについて行くように駆け出した。道は同じなのだ。道中通りかかる際どうなっているのか実際にこの目で見たほうが早い。聞くよりも見る。それが一番だとAは知っている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
