遠回しな ページ47
『意中の相手にフラれた時、簡単に諦められるもの？どんなフリ方をすれば相手に分かってもらえる？自分は貴方とは付き合えない、って』
何で恋愛に興味なさそうで疎そうなフェリクスに訊いたのか、訊いたあとでそう思った。だが訊いたあとではもう遅い。は？という鋭い視線が向けられてしまった。口には出していなかったが、目がそう言っているように感じた。
『やっぱりいいよ。こういうのは自分で考えるべきだよね』
「……お人好しの心が、人を傷つける事があるという事を知っているのなら、自分が嫌われてでもハッキリ言うべきだな。まあ、お前に気持ちを伝える相手なんて薄々察しているが」
あのバカか、とフェリクスは名前を言う事はなかったが、失礼ながらAにはバカが誰の事だか分かってしまい『バカだよ』と言って目を瞑った。目蓋の裏に映るものは、あの時のシルヴァンの表情だ。悲しそうな顔して無理に微笑む、あの表情。
『私なんかを好きになっても、いい事なんて一つもないのにね。もっと別の女性を好きになるべきなんだよ。……なんて、恋なんてしたことのない私が言えることじゃないけど』
シルヴァンを婚約者にと思っていた理由だって、酷いものだったのだから。人が弱ってあるところにいつもやって来て慰めてくれるのがたまたまシルヴァンなだけで、本当は誰でも良いんじゃないのか、と最近になって分かってきた。
ディミトリやエーデルガルト、メルセデス、ゼンなど色んな人たちに支えられるだけで心は満たされた。シルヴァンが特別という訳ではなかったんだ。
「恋なんかでうつつを抜かす余裕があるくらいなら俺の訓練に付き合え。……その後なら、少しなら話を聞いてやらんでもない」
『……フェリクスも、その一人なんだよね』
どういう意味だ、と訊かれたがそれはAだけの秘密だ。普段は口が悪くて必要以上に人と関わる事がなく印象は良くない方だろうが、根は優しく、少なくともその遠回しな優しさがAを救った事は今までに何度かあるはずだ。
『いいよ、訓練付き合うよ。その代わり、最近ずっと魔法の特訓ばかりで剣を扱うのは久しぶりだからお手柔らかにね』
「フン。手加減して負けた、なんて結果より勝つ方がいい。全力でかかりにいく」
張り切りすぎたら明日に響くな、だなんて言いながら実は訓練を楽しみにしている自分がいる。
そして、このまま時間が止まってしまえば、と思ってしまう自分もいた。
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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