結局 ページ44
キスがどんな行為で、どんな人とするものかは知っていた。恋人同士が愛情などを示す事で、自分には絶対に無縁なものだと幼い頃からそう思っていた。自分にそう呼べる相手なんていない。出来ない。だって自分は王女で愛なんて関係なしに適当な相手と結婚すると思っていたから、少なくとも愛情を確かめあう、なんて意味のキスではないことは確かだった。
だけど、今キスされているのは……何故？
そつと重ねられただけの唇はすぐに離れて、今度はAとシルヴァンの瞳が重なった。今まで平気で見ていられた瞳が、今は何故だか見られなくて思わず視線を逸らした時、頭をわしゃわしゃと掻き乱された。
「嫌だっただろ、俺なんかとのキスなんて」
自分からキスをしてきたくせに、どうしてそんなに辛そうな表情で無理して笑みを浮かべるのか分からず、Aは『シルヴァン？』と彼を見上げながら頭を撫でる手を掴んだ。
「……俺、今の自分が嫌いですよ。だからさ、こんな俺を知ってほしくないから今だけは一人にさせてくれないか？」
嫉妬にまみれた俺なんて、と言ってシルヴァンは俯いた。フッても、まだ自分を好きでいてくれるシルヴァンにAは何も言うことが出来なかった。シルヴァンがこうなったのは少なくとも自分のせいだろう。未練を残さないようにするべきなのに、友達でいたいという彼の願いに答えて結局はこうなってしまった。
きっとシルヴァンをフッた時点で、前のような関係には戻れないと分かっていたはずなのに。いや、戻ってはいけなかったんだ。
それでもきっとシルヴァンのことだから口が利けなくなる関係はもっと嫌だと言うだろう。シルヴァンに嫌いになれ、と言うのは酷なことかもしれないし、どうすればいいのか分からなくなったAはその場に立ち尽くして地面を見つめた。
「……想っていても成就しない、これほど酷なことがあるなんてAと出会うまでは知りませんでしたよ、俺」
でもやはり、シルヴァンを傷つけているのは自分なんだ。それだけは今の言葉でハッキリと分かった。何もなかったように振る舞い、いつものように１日を過ごしていく。それでいいのだと思っていたのは間違いなのだと。
『……ごめん。シルヴァンは悪くないから謝らないでいいよ。全部、悪いのは……』
私だから。
叶わない想いを残していてもダメだとハッキリ言わなかった自分が悪かった。好きになるな、嫌いだ、と線を引くべきだったんだ。
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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