いつの間にか ページ43
＊
ー『Aと申します』ー
あの時、初めて彼女を見たときはただ純粋に"ああ、殿下の知り合いか"とそこらで見かける者と同じ目で見ていた。髪は肩につくかつかないかくらいで、瞳は俺たちの故国の殿下であり幼馴染みであるディミトリと似ていた。でも、蔑むような瞳でどこか陰りがあって、何かを抱え込んでるのか、と思った。
名を名乗ってもあまり反応を示さず、その者の正体が女だと分かった時は、人のすることに何かとケチをつけてくるイングリットとは違った変わった女という印象で、落としがいのある女、と思っていた。
笑顔を向けるだけで大抵の女は振り向いてきたし、何度もめげずに口説けばホイホイついてきたっていうのに、この女だけ何を言っても無駄なんだって分かったときは、それを信じたくなかった。俺に落とせない女なんているはずがない。なんとしてでも落としてやりたい。
それはきっと、ディミトリに忠実に従者として仕える他、友人として笑みを向け合う二人の関係が羨ましかったからなのかもしれない。
俺にはあんな顔見せないだろ？王国にいたのだって、たったの半年じゃねぇか。たったの半年っていう時間はこんなにも差が出るのか？
時間差なんて埋めてみせる。そんな想いで口説き続けたが口説いても意味がないことを知り、俺はズルいから彼女が弱っている時に漬け込むしかなかったんだ。義理とはいえ、兄からの数々の暴言を受け、愛していた母を殺してしまう道以外なかった彼女を見たときは、正直なんて声をかけたらいいのかも分からなかったし、俺なんかが受け止めてやれるのか、って不安にもなった。
それでも、もう一度彼女が笑ってくれるのなら……
ぞっこんだったんだよ。一目惚れだったのかな、って思うくらいに。
自分の気持ちに新たな感情が芽生え始めてるんじゃないかと薄々感づき始めた時から、俺の瞳に映る彼女の姿が一段と綺麗に見えて、他の女とは比べ物にならないくらい光っていた。
それでも、稀に光と共に少し陰りが見えて。声をかけたらかけたで突き放そうとするし、本当何考えてるのか分からない人だった。
口説いてスルーされ、話しかけ面倒くさがられ、たまに素直になって。
そんな彼女を傷つけたくはない。
でも、欲って止められねぇんだな。
こうしてキスしてるってことは、俺は欲に負けてるんだろ？
傷つけたくないのに、強引に奪ってやったんだ。Aの唇を。
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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