分からなくても ページ42
Aにしては服を掴んでいる手にやけに力がこもっておらず、それに気づいたシルヴァンは首筋に埋めていた顔を上げた。銀色の糸が首に纏わり付き、シルヴァンが離れていくにつれてだんだんと細くなり、プツンと切れた。
首筋に残った糸を見つめたあとにAの顔へと視線を滑らせると、彼女は痛そうに顔を歪めて息苦しそうに呼吸をしていた。
「あ、や、……えっと、悪い。痛かったよな……じゃなくて、急に許可なしにして、本当に……A……？」
久しぶりにシルヴァンは彼女のあんな表情を見た。無邪気に笑う姿があまりにも綺麗で、可愛くて。だから欲に耐えられずしてしまった。でも、別にAを困らせたかったわけではなかった。
なのに……
「わ、悪かったって！何度だって謝るから……！だから泣くなよ」
『……泣いてない。びっくりしただけ。それに謝罪の言葉なんていらない。悪いのは私も同じでしょ』
今にも溢れそうな涙が頬を伝う前にAは自分の手で拭った。人は誰だって何をするにしても初めては怖いものだ。剣で人を傷つけてしまうかもしれない、と恐れて頑なに剣を持とうとしなかった幼かったあの頃のような感覚を思い出してしまったらしく、肩の震えが止まらなかった。
『……シルヴァン。今みたいに誰かに縋り付きたいくらい不安な事があった時、欲に負けないように自制心を保てるようにしないと。流石の私でもビックリしたから』
「……ビックリしただけ？怒ってないんですか？」
『怒ってはない。私も不安な時は誰かに縋り付きたくなるからね』
ただ、今のように許可なしに突然されるのはやめた方がいい、と言われてシルヴァンは片手で口元を隠した。
本当に、鈍感なんだか敏感なんだかよく分からない人だな。
こうして俺が不安になってるっていうことは分かってるのに、気づかないんだから。それだけの理由で今みたいな事するわけないだろ。
「本当に、バカだなアンタ」
そう言って、今度は怖がらせることのないように優しく彼女を抱きしめた。
「好きだよ、A。……好きだ」
そして、優しく触れるだけのキスを、彼女の唇に落とした。
強いようで弱い。冷酷に見えるけど、実は中身はすごく仲間思いで目が離せないんだよ。
口説いても口説いても中々落ちない相手で、最初は落としがいのある面白い女としか思ってなかったさ。
今ではこんなに好きなんだ
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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