会いたくない ページ39
『一生かけてもメルセデスには敵わない気がする』
それからはメルセデスによる数多の励ましの言葉を受けながら二人は一緒に書庫に足を運んだ。訓練する気がないならば、ここは気を落ち着かせるために読書でもしよう。そう決めたくせに、いざ書庫に足を踏み入れようとするとうまく足が動かなかった。
『……シ、ル……ヴァン…』
会いたくなかった相手が、そこにいたのだから。いつもは暇あれば外で女性を口説き食事や茶をしに回っているくせに今日に限ってどうして書庫にいるんだ、とAは視線を床に落とした。シルヴァンはガタッと席を立ってAが来ると分かっていたような口振りで話し始めた。
「……ここ最近、目も合わせてくれなくなったよな。避けられてる気がする……のは、俺の気のせいなんかじゃねぇよな？」
避けてるだろ、と言われたAは『避けてるね』と冷静を保つのに必死になりながらなんとか言葉を出した。結局冷静さなんて保てておらず、それはシルヴァンにはバレバレだったのだが素直すぎる彼女の即答にシルヴァンはハァ、とため息をつく他なかった。
「悪い、メルセデス。少し席を外してもらえるか？コイツと二人だけで話がしたいんだ」
コイツ呼ばわりされたことはイラッとしたが、今はそれは置いておこう。二人だけなんてきっと耐えられない、という未来が予測できたAは『話なんてない』と言ってメルセデスの腕を掴んで引き留めた。
「俺がお前にあるんだよ。つーか、この状況を作ってるのが自分だってことを自覚してるのか？」
『……』
そう言いながらシルヴァンは二人の元に近づいてAの手をメルセデスの腕から引き剥がした。アイコンタクトをメルセデスと交わして彼女には席を外してもらい、書庫にはAとシルヴァンの二人だけになった。
残暑なんてないこの赤狼の節には冷たい風が常に吹いており、書庫の窓を吹き抜けていく。その都度肌に刺さるような寒さが襲ってきてAは肩を震わせた。それだけでなく、シルヴァン、という存在に対しても震えていた。
「……座れよ。そこ、風が吹いてて寒いからさ」
『……そう、だね』
ぎこちない二人は、互いに対面する形になるような席について、シルヴァンは視線をAに。そしてAは視線を机の上に向けていた。こんなに近くにいても、目を合わせる気がないということだろう。
彼女の目が、そう言っていた。
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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