混沌の魔女 ページ34
その声がいったいどこから聞こえたのかなんて分からなかった。見渡せる限りの範囲にはベレトとシルヴァンしかいない。そう。女性の姿なんてなかった。
ただ、女性の声が聞こえた時にうっすらと見えた光景。それは、巨体な水晶のある謎の密室。左右に一つずつ椅子があり、壁は紫色で彩られ、見渡せば花がいくつも並べられている。そんな光景だった。
「今は違う？」
ベレトの声により我に返ったAはまだ痛む頭を押さえながら耳をすませた。
「……あはは、そうですねえ。傭兵として、紋章を持ちながら紋章と無縁に生きてきたあんたを見てると…………妬ましくて、憎らしくて、殺してやりたいとさえ思いますけどね」
するともう一度、激しい頭痛がAを襲った。まるで地震が脳内で起きているような感覚がして、Aは目をギュッと瞑ってその場に座っていられなくなり、ゆっくりと体を横に倒した。
妬ましくて、憎らしくて、殺してやりたい……
その言葉を聞いてから、心臓の鼓動が激しく鳴り始めた。何かを望んで興奮しているかのように。
割れそうなくらいの痛みと共に「やるのよ」という声が脳内に響いた。
その声は、聞いたことがあった。いや、いつも聞いている声だった。
「私が……貴方が……やるの。この世界を変えなければ、永遠に自由は訪れない。貴方はずっと未練から逃れられず、何度も同じ運命を辿ることになる。この世の全てを正さなければならないの！！」
その悲痛な声は、紛れもなく
自分の声だった。
・・
聞き間違えるはずがない。いつも聞いている声なのだから。
「思い出すのよ……貴方が辿ってきた運命を」
自分の声ではあるが、いつもよりトーンが低く、そんな声が脳内に響いて更に痛みは増していく。
「貴方にしかできないことなの」
そう訴えてくる声に反抗するように『貴方は誰なの』と消え入りかけた声で問いかけた。
「私は貴方。貴方は私。……セブンスの力を持つ、混沌の魔女」
混沌の魔女……
その名には、聞き覚えがあった。
夢の中で、アイツが口に出していた。
解放王ネメシスが、Aに……
フランに向かって言っていた名だった。
……ああ、そういうことか。
どうしてフランの夢を見てしまったのか……いや、夢ではなかった。あれは自分が実際に体験したことがある光景。
『私とフランは……』
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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