疑惑 ページ32
「……ああ、何だ、先生か。はは、すみません、全然気づかなかった。最近よく会いますねえ。あ、もしかして、俺に気がある？すいません、俺の腕の中は女の子専用で！野郎に貸すのは勘弁願いたいんですが。……で、何の用です？」
相変わらず誰に対してもそのテンションなのか、と思い隠れながら二人の様子を隙間から覗き見るA。ベレトが「今の女性は？」と問いかけると、腕を自分の後頭部に大きく回して呑気な口調で答えた。
「あの子はその辺で引っ掛けたんですよ。ちょっと楽しく遊んで別れようぜー、って。そしたらあの子、意外と俺に入れ込んでたみたいで、いやあ困った」
本当に困っているのかシルヴァンの考えは読めない。困ったような素振りを見せてはいるがさほど暗くない声色にそれは演技なのではないだろうか、と疑ってしまう。「軽薄すぎる」というベレトの発言に頷きながらAは二人の会話に再び耳を傾けた。
「何言ってるんです、先生。このくらいの遊びが、一番気楽でいい。……ま、先生がどう思おうと、態度を改めるつもりはないんですけどね。ほら俺、こんなろくでなしでも一応、紋章持ちの貴族なわけですし……重たい遊びはしないようにしてるんです。厄介ごとを呼び込んでくるだけですから。いずれは、黙ってたって適当な相手と結婚させられて、落ち着く予定ですしね。ま、俺には意中の相手がいますがフラれましたし。……そう言えば先生は、自分が紋章を持ってるって知らなかったんですよね？」
私に対して放ったあの言葉一つ一つさえ気楽だと思いながら言ったのではないのだろうか、とますます疑惑が深まる。それにつれて眉間に寄るシワも深くなっていった。本当にロクデナシとしか言いようがない。それに、フラれたと言っているが最終的にはシルヴァンもそれでいいと言ったはずだ。
シルヴァンの発言一つ一つがAにとって居心地の悪いものでしかなく、だんだんと視線が下がっていき目は細められていく。
「父は教えてくれなかった」
「……なるほど。ま、傭兵だったわけだし、わざわざ調べるってこともないか」
「貴族はどうなの？」
ベレトと同じくAも自分が紋章を持っていることを少なくともクラリネスに来てから数年は教えられていなかった。それに、紋章を持つ者がどんな生活を送りどんな運命を辿っていくのかなんて知ったことではなかった。それほど遠い地にいたのだから。だから興味が沸いたのだろう。
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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