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皇女と魔女 ページ27




あれからも三人の会話は続いて今は午後11時。昨夜の睡眠時間は40分のため、もう限界で瞼がかなり重たく視界を何度も遮ってくる。一人で寝るのが心細いと言うAはエーデルガルトの部屋にお邪魔して、シングルベッドに二人で寝ることになった。



細身の二人だからこそ、このベッドに並んで寝られる。エーデルガルトとAは明かりを消した後、ベッドに横になって目を瞑り、早速寝息を立てはじめた。学級のみんなを纏めるのは大変のようで、エーデルガルトは疲れたのだろう。睡眠40分のAと同じく一分ほどで夢の世界へと入っていった。







「……また、貴方なの。いい加減にしてくれる。もう私の夢に出てこないでと何度も言ってるでしょう」



とある砂漠の中心でしゃがみ、何かを手で包み込んでいる少女を見かけたエーデルガルトは、見慣れた景色を見渡さずに少女にだけ視線を向けていた。ニコ、と笑みを向けられてもエーデルガルトの表情が変わることはない。



「私の意思じゃどうにもならないの。貴方があの紋章を持っているから、本能が貴方から離れてくれないのかもしれない。私だって、アイツと同じ紋章を持っている貴方となんて会いたくないわ」


「言ってくれるわね。私だって持ちたくて持ったわけではないわ、こんなもの」



彼女の手の中にある物を見つめながらエーデルガルトはそう言い、エーデルガルトに見つめられながら彼女は立ち上がってエーデルガルトの瞳へと視線を向けた。蒼い瞳がエーデルガルトの紫色の瞳を捉え、そのまま彼女は歩み寄ってくる。



「私たち、似てるのね。持ちたく無いものを持たされ、それを利用されて最悪な人生を歩んでいく。……そんな世界をどんな手を使ってでも変えようとするところも、似ているわ」



そう言って少女はエーデルガルトの目の前で足を止めて頬にスッと手を当てた。頬を撫でながらクスッと笑いかける彼女の表情はまるで魔女のよう。綺麗な蒼い瞳が、いつの間にかハイライトのない色へと変わっていた。そんな彼女の手を振り払い、エーデルガルトは口を開く。



「だからこそ、貴方は私の夢の中にいつまでも出てくるのでは?貴方は自分の愚かさのせいで世界を変えられなかった。だから自分の出来なかった事を、私にさせようとしている。そうではないの?」



エーデルガルトの問いに答える代わりに彼女は左手の人差し指を地平線の先へと向けた。



すると、指からは赤い光線が発射され、別の場所へと移動した。

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- 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年1月4日 23時

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