悲しみの奥に ページ42
「今はもう、みんな死んでしまったけれど」
そうか、その子にももう家族と言えるような存在はいないのか。ディミトリは同じ境遇である彼女になんて声をかけようか迷い「君の名前は？」と問いかけた。
「……フラン。貴方は？」
「俺はディミトリだ。宜しくな、フラン」
スッと手を差し伸べると、フランは一瞬困ったような顔をして恐る恐るディミトリの手を取った。その手の温度が、Aの手の温度を思わせてディミトリは「冷たいな」と呟いた。フランは「貴方は温かい」と言って、自分の胸元に手を当てた。
「サンもアスタも、温かかった。……でも、みんな戦争で死んでしまったの。貴方も、私と一緒にいると捕まっちゃうわ」
「何かに追われているのか？」
「……ええ。私たちは、戦争の道具だから。みんなそのせいで死んだけれど、私だけが生き残った。どうしてかしらね」
彼女の泣きそうな声色と表情は孤独からなのか。ダスカーの悲劇で生き残った自分と、戦争で自分だけが生き残ったという彼女と、全く同じだった。同じ道を辿っている彼女に、ディミトリは「一人は怖くないのか？」と問いかけた。
「怖いわ。辺り一面が砂漠で、花も水も建物も何もない。走っても走っても何も見えてこない地平線を、永遠に走るのは嫌だ。だから、私決めたの」
すると、突如強風が吹いて、ディミトリは思わず目を瞑って腕で顔を覆った。それが約十秒ほど続き、風が止んでそっと目を開けると、辺り一面が砂漠だった。ここは、彼女の記憶なのだろうか。
「必ず、どんな手を使ってでも……戦争を終わらせると」
そう、ディミトリに向かって言う彼女は先ほどの少女とは別人のように、髪は長くなり大きくウェーブがかって黒がかった色になり、重力に反して浮いていた。目はハイライトのない水色と紺色の目に変わっており、黒色のワンショルダーのドレスにスパッツをはいている様な衣装に変化した。まさに魔女という言葉がピッタリだった。
「戦いという概念が憎しみを生み、戦争を起こす。全ての戦いの概念および闘争心に結びつくものを消さない限り、同じ誤ちを繰り返すことになる。私はこの世に不必要なものを消し、新たな世界を創るの。この体に宿る、セブンスを使って』
そう言いながら、少女は何かを願うかのように胸の前で両手を組んだ。その手には強く力が込められていて、指先の皮膚がこれでもかというほど白くなっていた。まるで彼女の思いの強さに比例するかのように。
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鈴菜 - すみません一つ言わせて下さい。ラファエロではなくラファエルです。一文字間違えてますよ。 (7月26日 12時) (
レス) @page23 id: 7d36c65659 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - Chaosさん» コメント返しがかなり遅くなってすみません！蘭たん面白いですよね。私も毎日動画見てます！ (2020年3月24日 12時) (レス) id: ffc3db4687 (このIDを非表示/違反報告)
Chaos(プロフ) - 蘭たんの実況私も好きですw更新楽しみにしてます、頑張って下さい！ (2020年1月9日 0時) (レス) id: c7227097e4 (このIDを非表示/違反報告)
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