涙のわけ ページ23
＊
「……ん……？」
ディミトリはほんのり明るい光を浴びて目を覚ます。見慣れない天井に、見慣れない灯。そして何故ここにいるのか思い出せずにいる。
「……ああ、確か書庫で本を読んでいたら眠く……」
重たく覚醒しきれていない体を起こして辺りを見渡すと、何故か椅子に座って壁に寄りかかり眠っているAの姿があった。こんな夜遅くにどうして、とディミトリは起こすべきかこのままにしておくべきか頭を抱える。
「……A。」
やはりちゃんとした場所で寝かせてあげた方がいいだろう、と重い声をかけて起こそうとする。スー、と聞こえる鈴の音のような寝息がディミトリの耳を擽る。いつもは凛としたつり目は今ではしっかりと閉じられている。細くスラッと伸びた手足、頼りなさそうにない柔らかい白い肌。
こうして見ると、やはり女性なんだなと改めて思い知らされる。普段が塩対応だから、余計にそう感じてしまうのだろう。黙っていればきっとモテるはずなのに。
「……いや、Aは既にモテてるな。フェリクスにシルヴァンに、そういえばアイツも……」
Aに視線を向ける男性はかなりいることを思い出し、ディミトリは「意外だな……」と呟きながら彼女の顔にかかっていた髪を耳にかける。サラッとした柔らかい髪がディミトリの指に蕩けるように絡みついて、ディミトリは不覚にも胸を高鳴らせた。
Aは目を閉じたまま何も言葉を発さない。普段なら近づいただけで目を覚ますAだが、眠りが深いからか、ちょっとやそっとでは目を覚まさない様子。
「A、起きろ。ちゃんとベッドで寝ないと風邪引くぞ。」
『……』
書庫でうたた寝をした自分が言えることではないが、これはAを想ってのこと。また風邪を引いてしまうのは可哀想だからだ。何度か「A」と声をかけると、『ん……』と寝言が聞こえてきた。普段聞かないような声を聞いてディミトリは動揺するが、いつのまにかAが涙を流していて、焦った形相で「A！」と名を呼んだ。
『……ご、めんね……二人と、も……ごめん、なさ……』
それからは何度もごめんなさい、という謝罪の言葉がAの口から溢れ出てきた。蒼い月あかりに照らされた涙は水晶のように輝き、テラスを渡る風が頬の火照りと共に涙を乾かした。
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イナアレオリ - 楓様この小説とっても読みごたえがあって私好みの作品です\(//∇//)\私のワガママなのですが，月光の姫の小説のパスワードを教えてくださいm(_ _)m月光の姫の小説も私のお気に入り小説なのでお願いします！ワガママ言って本当にすいません (2021年8月16日 23時) (
レス) id: 2e62a84241 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 冬木さん» その事に関しては一応以前伝えておいたのですが、更新と同時にページの関係で消しており、また後に時間がある時に修正する……という風に閲覧者様にはお伝えしていますので、しばらくお待ちください。 (2020年8月12日 9時) (レス) id: ffc3db4687 (このIDを非表示/違反報告)
冬木 - 国名とか主人公の苗字とかに赤髪の白雪姫の要素が入っているので、明記しておいた方がいいと思います (2020年8月12日 2時) (レス) id: 4c70962f8d (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ねこみや梓さん» すみません、王妃であってます。ご指摘ありがとうございます (2020年6月7日 13時) (レス) id: ffc3db4687 (このIDを非表示/違反報告)
ねこみや梓(プロフ) - 主人公の母親は王女じゃなくて王妃だと思います。王女だと王様の娘という意味だったと思うので。間違ってたらすみません。 (2020年6月7日 12時) (レス) id: 376aefe0b2 (このIDを非表示/違反報告)
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