3対1 ページ12
「メルセデス、何があったんだ?」
息切れし、汗をかくメルセデスに逃げるA。二人の間にいったい何があったんだ、とディミトリは問いかけた。
「それが……Aの様子がおかしいのよ〜。立っているだけで汗をかいていたし、顔色は悪いし、なんだか心配で……でも私じゃ追い付けなくて。」
「熱が……!?……そうか、ならば俺にいい考えがある」
*
中々諦めてくれないメルセデスを上階から眺めるAは、さきほどよりフラフラとしていた。頭は朦朧としていて思うように足は進まないし、ガンガンと打ち付けるような頭痛が襲ってくる。だとしても休んだところできっとメルセデスに看病されてしまう。
看病されるのが嫌なわけではない。ただ、看病のために付き添ってくれるメルセデスに申し訳なくて、逃げているのだ。本当は気づかれずに治るまで平然と過ごすつもりだったのに、メルセデスはとても勘が鋭かった。甘く見すぎていた……と今からながら外を出歩いていたことを後悔する。
「あっ…!!」
すると階段の下でメルセデスが痩けた。その瞬間を視界に入れたAは、思わず二階から一階に飛び降りてメルセデスに駆け寄る。自分を追いかけているせいで大怪我をされたら困る。大丈夫かと尋ねた時、メルセデスの口角が一瞬上がったのが分かった。
『しまった……!』
スッとすぐさまバク転して、横から伸びていた手から逃れたA。呼吸が苦しくなり肩で息をしてメルセデスを見つめると、「もう〜……」とメルセデスは残念がっていた。横から伸びていた手の正体はディミトリで、何でディミトリが、とAは目を見開く。
「A、諦めて休んでちょうだい。ほら、息切れしてるじゃない。」
『それはメルセデスが追いかけるからでしょ』
貴方が逃げるから追いかけてるの!メルセデスが追いかるから逃げてる、と無駄な言い争いをしている二人。たまたま遠目で見ていたフェリクスは耳を塞いであからさまに嫌そうな顔を向けた。
「あっ、フェリクス〜!Aを捕まえて〜!!」
フェリクスとメルセデスに挟まれているAは、ジリジリと迫ってくる二人からどう逃れるか必死に思考を巡らせる。ここは階段の横で、跳躍して手摺に着地すればあとは二階に上がるだけだ、と考えてヒョイッと軽々しく兎のように跳躍した。
だが、うまく足に力が入らず着地に失敗し、グラリと体が真横に傾いて二階から一階まで落下した______
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イナアレオリ - 楓様この小説とっても読みごたえがあって私好みの作品です\(//∇//)\私のワガママなのですが,月光の姫の小説のパスワードを教えてくださいm(_ _)m月光の姫の小説も私のお気に入り小説なのでお願いします!ワガママ言って本当にすいません (2021年8月16日 23時) (レス) id: 2e62a84241 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 冬木さん» その事に関しては一応以前伝えておいたのですが、更新と同時にページの関係で消しており、また後に時間がある時に修正する……という風に閲覧者様にはお伝えしていますので、しばらくお待ちください。 (2020年8月12日 9時) (レス) id: ffc3db4687 (このIDを非表示/違反報告)
冬木 - 国名とか主人公の苗字とかに赤髪の白雪姫の要素が入っているので、明記しておいた方がいいと思います (2020年8月12日 2時) (レス) id: 4c70962f8d (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ねこみや梓さん» すみません、王妃であってます。ご指摘ありがとうございます (2020年6月7日 13時) (レス) id: ffc3db4687 (このIDを非表示/違反報告)
ねこみや梓(プロフ) - 主人公の母親は王女じゃなくて王妃だと思います。王女だと王様の娘という意味だったと思うので。間違ってたらすみません。 (2020年6月7日 12時) (レス) id: 376aefe0b2 (このIDを非表示/違反報告)
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