夜明けの蒼い月あかり

prologue ページ2

遥か太古より在りし地、フォドラ。天上より女神の見守るといわれるその大地は、三つの勢力によって統治されている。

千年以上の歴史を持ち、大陸の南半分を支配する≪アドラステア帝国≫。寒冷な北の大地を、王と騎士たちが治める≪ファーガス神聖王国≫。そして大陸の東側で、王を戴かず有力貴族による共同体を成す≪レスター諸侯同盟≫。

かつては戦乱の嵐が吹き荒れたフォドラも、今はこの三国の均衡により、平穏が保たれていた。



フォドラでは多くの人々が、女神を信仰する「セイロス教」の教えの下に暮らしている。フォドラに生きる者にとって、セイロス教や女神の存在は特別なものだ。例えば、遥か昔に女神が人々に与えたとされる「紋章」の有無が、富と力の象徴として貴族の家督相続を左右するなど、今もなお人々の暮らしに大きく影響している。

≪ガルグ＝マク大修道院≫は、三つの大国の中央に位置するセイロス教の総本山。宗教施設であると同時に、精強な騎士団を擁するこの大修道院は、フォドラの秩序の要としても機能している。




大修道院は、フォドラの未来を担う若者たちを育成する士官学校としての側面も持ち合わせている。


士官学校には、各国の出身者別に編成された三つの学級が存在し、さながらフォドラの縮図のような環境だ。


一つは、エーデルガルトが級長を務める≪黒鷲の学級(アドラークラッセ)≫。

二つ目は、クロードが級長を務める≪金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)≫。

そして、三つ目はディミトリが級長を務める≪青獅子の学級(ルーヴェンクラッセ)≫。




士官学校で学ぶ生徒たちはみな、戦いの技能を習得し、より高みを目指すために勉学に励んでいた。





中でも一人の少女は、明確な目的を持って士官学校に通っていた。そしてその理由は、大司教であるレア様しか知らない。彼女の瞳に宿る光と陰の正体は、いったい何なのか。









長い年月をかけて、知らされるであろう＿＿＿＿＿＿＿＿

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