193.Nobody Dosen’t Know ページ10
「虫螻の様な男だ」
そう言い、ポウを頭から一刀両断した狛村。
影武者の姿をした巨大過ぎる卍解は、見るもの全てを圧倒させた
そして、柱が壊されたときも遥かに大量の砂埃が、風圧で空へ波の様に吹き上がる。転送回帰により、戻り始めていた本物の空座町との区別もつかない
「ぼくら…間に合わなくて良かったですね…」
「…ああ…」
刀を躊躇無く振り下ろした影武者の後ろ姿を見ながら、吉良が呟く。檜佐木は、気絶させた弓親を肩に背負いながら呆然とそれに答えた
.
_____その時、一つの鈍い音が空気を変える。
バラガンが、骨でできた玉座の手摺を握り潰したのだ
Aや彼の従属官が目を向ける。
白煙と共に地上へ舞い落ちてゆく骨の欠片とは相対する様に、バラガンはゆっくりと重い腰を上げた
その様子から、声には出さずとも怒りが読んで取れる。部下が敗北し、自分の計画が進まないことに苛立っていた
「申し訳ありませんバラガン様!」
立ち上がろうとしたバラガンの前に、膝をつく二人の従属官。彼等はバラガンの最後の部下であり、最強の部下達だ
「奴等は我々がすぐに始末して参りますので、どうぞお座りになってお待ち下さい!」
「誰を始末するだと?」
突拍子も無く耳に飛び込んできた、冷たい声。
ゆっくりと顔を上げて振り向くと、そこには砕蜂と大前田がいた
「狛村達を始末するというのか、それとも我々全員か」
「返答次第では、私がお前から始末するぞ」
それを聞いて、やれるならやってみろ、そう表情で語るヴェガが不敵な笑みを浮かべる。スッと、己の帰刃の柄に手を掛けた
「まあ、」
「返答せずとも、始末するがな」
砕蜂もそれに気付いたのか、抜刀する。
刃こぼれ一つ無い刃が、刹那、光芒の様な煌めきを見せた
.
ガン!!!!
刀と刀のぶつかる音が、空を駆け巡る。
火花が激しく散り、斬魄刀と帰刃、二つの刃が交差した
それを横目に、彼等の仲間も一斉に動き出す。二人の激突が合図であったかの様に、全員が大きく、重い一歩を踏み出した
_____終わり無き闘いが、やっと幕を上げる
(誰も知らない)
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作者名：EGOIST | 作成日時：2016年10月25日 18時
