【BLEACH】空座決戦篇 II (ページ5)

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188.『侘助』の定義ページ5

吉良が一歩。
また一歩と、近付いてくる

その歩幅に、足音に、汗が一筋、垂れてゆく。
アビラマの目は、恐怖に引きつっていた

「斬りつけたものの重さを増やし続け、斬られた相手は重みに耐えかね地に這いつくばる。そして必ず、侘びるかの様に、頭(こうべ)を差し出す」

「故に、『侘助』」

刹那、脳の血管が脈打つ。
わかってしまった気がした

その刀が、何の為にあるのか。
何を斬り落とす為に、あるのか

わかりたくもないのに、気付きたくもないのに、
どうして知ってしまったんだと、後悔する

「その妙な形の刃で、一体何を斬るのかと訊いたね」

だが、それはもう遅い。

ガシャ…

そんな金属の音がして、首筋に冷たい感覚が添えられた。曲がった刃の間に、自分の首は簡単に収まってしまっている

流れていた汗が止まり、一瞬思考回路が停止した。
真っ白になった脳内に、吉良は容赦無く刃を当てはめる

「まっ…待ってくれ…!」

「戦士が、命乞いをするものじゃあ無いよ」

_____ゴトン。
鈍い音が、刹那の静寂を破る

噴水の様に、紅の血が溢れ出した。
破面だからと言って、体内の構造は似ているところもあるらしい

血が出れば、皮膚も斬れる。
また、恐怖心も同じこと

吉良は、血にまみれた己の刀を振る。
刀の軌道を、空中に置いていかれた血が丁寧に表した