9話 ページ10
「セバスチャン。彼女を部屋に案内してやってくれ。」
「かしこまりました。…案内いたします。どうぞこちらへ。」
いやいや。こちらへ…じゃないよ。
なんでこうなるの。
私とセバスチャンさんだけを残し、シエル君はどこかへ行ってしまう。
『え、あ…』
「あぁ、すみません。私としたことが…お嬢様自らに車椅子の操縦をさせるなんて。」
『だ、大丈夫です！大丈夫ですから！』
「いえ、そんなわけにいきません。さぁ行きますよ。」
されるがままに車椅子を押される。
あれから私は、流されるままファントムハイヴ邸に来てしまった。
彼らはどうして私に構うのだろうか。
正直その意図はわからないが、何故か私を屋敷へと招いてくれた。
正直、一人ではどうしょうもなかったのでありがたいことにはありがたいのだが……。
「こちらの部屋をお使いください。」
『こ、こんなに広い部屋を一人で…？』
「お気に召しませんでしたか？では違う部屋を…」
『あぁ！いいんです、いいですから！』
「そうですか？では、好きにお使いください。…私はそろそろ午後のティータイムの準備がありますので、失礼いたします。」
『あっ…』
私の答えを待たずに行ってしまったセバスチャンさん。
一人ぽつんと残されてしまい、どうすればいいのだと項垂れる。
『どうなってるの……』
そもそも私の家がなくなったことも、あの場所にいたことも、どうやって知ったのだろうか。
色々と考えることは多いが、あまりにも多すぎるために整理がつかない。
幾ら英国紳士とはいえ、ここまでの待遇はおかしすぎる。
何を考えているのだろうか。
『だめだ…考えてもわからない…。』
安定の思考放棄をし、車椅子をベッドの方に動かす。
17年前に使っていたベットよりとても広いそれは、自分にはとてもじゃないが似つかわしくない。
ゆっくりと車椅子から降り、バタリと倒れる。
ふかふかで、温かい。
『疲れた……。』
この世界で生きることも、何もかも。
どうして私はここに居るのだろう。
『ここはどこなの…』
あの時から、目を覚ますことはなかったはずなのに。
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お餅 - 執筆意欲無くされてしまいましたか？残念です。 (6月30日 21時) (
レス) id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 無理強いではありませんが、続きよみたいです。 (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 来春更新……、からもう三回目春が終わってしまいましたね… (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (5月29日 22時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 葬儀屋の嫉妬というか夢主ちゃんに対する執着心が上手く表されており、読んでいて凄く楽しかったです！とても好きな作品なので更新再開楽しみに待っております。 (2022年8月4日 15時) (レス) @page47 id: a995b7f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔夜 | 作成日時：2018年2月13日 9時
