33話 ページ36
「眠そうですね。」
『あ、ごめんなさい。…顔に出てました？』
「昨日遅くまで三人に仕事の引き継ぎをしていたでしょう。」
無意味でしょうけどね。とため息をつくセバスチャンさんに苦笑いを返す。
私達は、シエル君の言う情報を持つ人の場所に向かっている最中だ。
普段なら一人で車椅子を押す私も、人の多いこの辺ではそれも出来ず、セバスチャンさんに後ろから押してもらっている。
所謂電車や車のように、心地よい揺れに少しずつ眠気が襲ってきていたのは、セバスチャンさんの言うとおり寝不足だからかもしれない。
『私だけ寝てしまうわけにはいきませんから…。』
そうは言っても覚めてくれない目を擦りながら、セバスチャンさんの方を振り向いて、困ったように笑う。
「これからのほうが大変でしょうから、寧ろ今のうちに休むべきですよ。」
『なる、ほど。』
あの夜の一件以来、セバスチャンさんと私の関係は別段進展も後退もない。
私も変に考えずに接しているし、彼も多分、そうである。
『なら、お言葉に甘えて少しだけ寝ますね。…ありがとうございます。』
「ふふっ。」
『どうかしました？』
私の言葉に、声を出して笑うセバスチャンさんに首を傾げる。
「いえ、前の貴女でしたらそう素直に私に体を預けるようなことはしないと思っただけですよ。」
『！…そう、ですね。』
セバスチャンさんの言葉に、自分でも少しだけ驚いた。
確かに、前の私だったらセバスチャンさんの目の前で無闇に眠ったりはしないだろう。
『…一応、信用してますから。…おやすみなさい。』
逃げるようにそう言って、目を閉じる。
意識が落ちる前に、彼が何かを呟いていたが、私にはもう聞こえていなかった。
「…意外と可愛いところもあるじゃないですか…。」
………−−−
暗闇の中で、誰かが私を呼んでいる。
叫ぶような、懇願するような声。
悲痛なようで、歓喜にも見える。
私を呼ぶのは…誰？
−−−−−−−−−−−−−−−−
大変長らくお待たせしてしまいました。
自分の中で納得するような内容が書けず、一時的に放りなげてしまい、申し訳ございません。
ようやっと、たどり着けましたね。
次回、皆さんお待ちかねの彼が出てきます。
次回更新は2018/08/14予定
朔夜
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お餅 - 執筆意欲無くされてしまいましたか？残念です。 (6月30日 21時) (
レス) id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 無理強いではありませんが、続きよみたいです。 (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 来春更新……、からもう三回目春が終わってしまいましたね… (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (5月29日 22時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 葬儀屋の嫉妬というか夢主ちゃんに対する執着心が上手く表されており、読んでいて凄く楽しかったです！とても好きな作品なので更新再開楽しみに待っております。 (2022年8月4日 15時) (レス) @page47 id: a995b7f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔夜 | 作成日時：2018年2月13日 9時
