31話 ページ34
『…私はチヒロ。チヒロ・クレイシスと申します。ご挨拶が遅くなってしまいまい、申し訳ございません。』
「チヒロは家の看護師だ。最近雇った。まぁ、見た目通り足は使えないが腕はいい。」
車椅子の上でお辞儀をすれば、シエル君が得意気にそう言った。
「クレイシスって…あのクレイシス？」
「あぁ、そうだ。身寄りを失くしたところを僕が拾った。」
マダムの問に答えるシエル君。
その言い方はどうなんだろうかと思ったが、特に何も言うことはしなかった。
「さて、ここからが本題だが…。数日前、ホワイトチャペルで娼婦の殺人事件があった。」
一転し、真面目な顔をして話を始めるシエル君。
何も聞かされなかった私だが、なるほど、そういうことかと一人で納得する。
「何日か前から新聞が騒いでるヤツよね？知ってるわ。だけど…あんたが動くってことは何かあるんでしょ？」
私の気持ちを代弁するかの如く、マダムが話す。
シエル君は小さく頷き、続けた。
「そうだ。ただの殺人ではない。猟奇的…いや、最早異常といっていい。それが'彼女'の悩みのネタというわけだ。」
彼女、というのは女王のことだろう。
「どういうこと？」
「被害者の娼婦メアリ・アン、ニコルズは何か特殊な刃物で原形を留めないほど滅茶苦茶に切り裂かれていたそうです。」
マダムの問いかけに、今度はセバスチャンさんが答える。
シエル君はセバスチャンさんが用意したお菓子を口に含み、ひと呼吸置いて口を開いた。
「市警や娼婦達は犯人をこう呼んでいるそうだ。」
切り裂きジャック…'ジャック・ザ・リッパー'
ただならぬ気配を感じるのは、私だけじゃなかったはず。
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お餅 - 執筆意欲無くされてしまいましたか？残念です。 (6月30日 21時) (
レス) id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 無理強いではありませんが、続きよみたいです。 (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 来春更新……、からもう三回目春が終わってしまいましたね… (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (5月29日 22時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 葬儀屋の嫉妬というか夢主ちゃんに対する執着心が上手く表されており、読んでいて凄く楽しかったです！とても好きな作品なので更新再開楽しみに待っております。 (2022年8月4日 15時) (レス) @page47 id: a995b7f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔夜 | 作成日時：2018年2月13日 9時
