17話 ページ19
『……(やばい、かもしれない。』
お茶を嗜んだあとに出した牛たたき丼。
コレも一応、あの炭になった肉を使用したものだ。
ぐるぐると頭をフル回転させて最終的に思いついた和食の代表的存在である丼は、セバスチャンさんに言えば即採用してくれた上、そのなんたるかまで聞いてきた。
その時の緊迫感といったら、もう…。
真剣に丼について聞き、メモを取るセバスチャンさんが少しだけ面白かったのは私の中だけの秘密である。
そして、その丼にあわせて出すはずのワイン。
現在それが非常に、非常に…まずい。
割れた眼鏡をそのままかけ、立ち尽くす給餌のメイリンさん。
その姿に見兼ねて、セバスチャンさんがぼそっと声をかけた…のが、少し不味かった。
顔を赤く染め上げた彼女は、ぎこちなくワインを手に取り、震えた手でクラウス様のグラスにワインを注ごうとする。
「「ああーーーー！！」」
外野のフィニアンさんとバルドさんが思わず声を上げる。
それもそのはず、注がれるはずだったワインはグラスをきれいに避け、テーブルクロスへと流れる。
今までの苦労が台無しにろう、もうすぐでお客様にかかってしまう寸前。
『！！』
「お…おぉっ？！テーブルクロスはどこに行った？！」
セバスチャンさんが、一瞬にしてテーブルクロスを引いたのだ。
「……ふっ。クロスにちょっとした汚れが付いていたから下げさせた。気にしないでくれ。」
「大変失礼致しました。ごゆっくりお食事をお楽しみ下さい。」
驚くクラウス様に、シエル君はさも当たり前のようにして答えた。
セバスチャンさんもまた、シエル君と同様にして答えた。
『…あ、ありえないでしょう…。』
人間業とは思えないソレに、開いた口が塞がらなかった。
「すごいっすごいですセバスチャンさん！」
「おうおう、ヒーローのご帰還だ！」
セバスチャンさんが帰って来るやいなや、持て囃すフィニアンさんとバルドさん。
ふー、とため息をつくセバスチャンさんの肩を抱き、バルドさんは楽しそうに言った。
「俺の国じゃお前みてーな奴のこと"スーパーマン"って言うんだぜ！」
その言葉に、セバスチャンさんはフッと笑っていつもの台詞を返すのだった。
「"スーパーマン"などではありませんよ。…私はあくまで、執事ですから。」
『……(あくまで……か。』
その真意は、わからない。
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お餅 - 執筆意欲無くされてしまいましたか？残念です。 (6月30日 21時) (
レス) id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 無理強いではありませんが、続きよみたいです。 (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 来春更新……、からもう三回目春が終わってしまいましたね… (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (5月29日 22時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 葬儀屋の嫉妬というか夢主ちゃんに対する執着心が上手く表されており、読んでいて凄く楽しかったです！とても好きな作品なので更新再開楽しみに待っております。 (2022年8月4日 15時) (レス) @page47 id: a995b7f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔夜 | 作成日時：2018年2月13日 9時
