13話 ページ14
『ん……』
カーテンの隙間から差し込む陽射しで目が覚める。
布団から手を伸ばし、時計を見ると丁度五時半。
『ぴったり…今日も頑張ろ。』
昔と殆ど変わらない生活習慣に、思わず苦笑いが出る。
着替えて、支度をする。
ドレスでも、メイド服でも、ナース服でもなく、ワイシャツにスキニーパンツ。
勿論、色は黒しか無い。
ナースと言う役職を与えられた私は、本来ならナース服を着るべきなのだろうが、動きにくいという理由からそれを拒んだ。
シエル君の屋敷で働き始めて、今日でちょうど一週間。
毎日が穏やかで平和だった。
「おはようございます。チヒロさん。」
『おはようございます。セバスチャンさん。』
お嬢様から、晴れてさん付けになった私とセバスチャンさん。
彼は最初こそ若干呼び辛そうだったが、今ではすっかりだ。
正直いうとセバスチャンさん。と呼ぶのは長いし呼びにくいが、仕方あるまい。
ニックネームで呼ぶほど私達の仲はいいわけでは無いから。
『包帯よし。絆創膏よし。あとは…』
私の一日は救急箱の中身をチェックすることから始まる。
それが終わったらチェックシートを付け、薬のチェック。
そしてそれもチェックシートをつけたら、今度はセバスチャンさんの雑務をお手伝い。
「毎日きちんとシートに書かなくても良いのでは？」
『癖なんです。』
日本で看護師をやってた頃の。とは言わずににこりと微笑む。
『あぁ、そういえば今日は日本から拳法の達人様が来るそうですね。』
予定表を読んでいると、ふと見えた文字に反応する。
私がそう言うと、セバスチャンさんはきれいな笑みを浮かべて頷いた。
「そのようですね。」
『頑張って下さい。』
「勿論。ファントムハイヴ家の執事たるものそのような方に勝てずしてどうします。」
『…そうですね。』
日に日に明らかになっていく彼の仕事ぶりは、もはや人間技ではない。
完璧たる執事に、心配などというものはとっくに無くなっていた。
本当に人間なのだろうか、と最近良く思うが、それを口に出すことはしなかった。
口にしたら、何かが変わってしまいそうで。
『……。』
「どうかしましたか？」
『いえ、何でもありませんよ。』
彼の問いかけに、私はまた笑った。
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2018/2/15更新
次回更新は
2018/2/16予定
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お餅 - 執筆意欲無くされてしまいましたか？残念です。 (6月30日 21時) (
レス) id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 無理強いではありませんが、続きよみたいです。 (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 来春更新……、からもう三回目春が終わってしまいましたね… (6月30日 20時) (レス) @page47 id: ed46a196c0 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (5月29日 22時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 葬儀屋の嫉妬というか夢主ちゃんに対する執着心が上手く表されており、読んでいて凄く楽しかったです！とても好きな作品なので更新再開楽しみに待っております。 (2022年8月4日 15時) (レス) @page47 id: a995b7f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔夜 | 作成日時：2018年2月13日 9時
