病室401 ページ1
薄暗い天井に赤い反射光が光っている。
「・・・・・・」
健康診断のために入院したが、ちっとも眠れやしない。仕方なく入院着のまま身体を起こす。
見ると、同じく一日入院の3人も赤い光に起こされたようだ。
俺に気づいたガタイの良い男が声をかけてくる。
「あ、はようございます」
「まだ夜だよ」
アラサーの男が訂正する。
もう一人の青年はコーラを飲んでいた。健康診断は明日もあるのに、彼の机には2本空き容器が転がっている。
「この光なんだ?」
「あれっぽいですね、黒の丸いやつ・・・・・・」
「ふーん」
コーラの彼が指差した部屋の隅には、黒っぽいダチョウの卵ほどの大きさの物があった。先の方からは、例の赤い光が点滅を繰り返している。
装置に近づきながら呟く。
「卵か・・・・・・? ブラックエッグ、ってとこだな」
押しても引いても動かない。俺はとりあえず、病院の最新設備かちょっとお洒落なWi−Fiルーターだと結論づけることにした。
そして・・・・・・さっきから無視していたが。
「やっぱ聞こえます?」
アラサーが訪ねる。
振り向いたドアの先、廊下から声がする。
「やめてください! 助けて!」
僅かだが、キュラキュラと床を擦るような物音も聞こえる。
ガタイの良い・・・・・・なんだあれ、190ありそうだぞ、俺なんて165・・・・・・んっん! 男が、ドアの小窓から廊下を除く。アラサーもそれに続く。
「医者だ、患者もいる」
「どういうこと?」
「患者が担架に拘束されて運ばれてるんだ」
コーラが疑問を口にすると、アラサーがすぐに答える。アラサーはどこかの先生なのだろうか、生徒に応えるような口ぶりだ。
キュラキュラという物音はエレベーターホールのある方へ移動する。それに付き従うように、190の目線も動く。
「は!?」
突然大声を出した190に、少しビビる。
「おいどうし・・・・・・」
「ちょっと俺行きます」
「おい!??」
190が廊下へ飛び出して行く。
「この病院どうなってんだよ!?」
アラサーがそう叫び、彼も飛び出して行った。
「・・・・・・えぇ・・・・・・」
困惑を隠せないまま、俺も二人を追いかけて行くことにした。
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作者名:上下水道 | 作成日時:2023年9月23日 0時