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こぽこぽ、と緑茶を淹れる音が部屋に響く。部屋に入ってきたばかりの大きなリーゼントの彼……草壁くんが目を丸くして私を見ているのを横目に、部屋の奥の一番豪華な椅子に座る可愛い彼にお茶を出した。
「はい、ヒバリくん。美味しいお茶ですわよ」
「…………」
私の淹れた緑茶を素直に受け取り再び書類へ目をやる彼の横顔を見ながら、つい先程の出来事を思い出す。
『なぁんだ、とっても怖い人なのかと思ったけれど、やっぱり可愛らしい男の子じゃない』
応接室の扉を開いて、始めて彼の顔を見た時。皆が彼に抱いていた『怖い人』というイメージからはかけ離れているように思えた。だって、雰囲気が可愛らしい黒猫ちゃんなんだもの。
私のその言葉を聞いたヒバリくんは一瞬ぴくりと眉間に皺を寄せたけれど……転校生だからか、女だからか……それとも、私が彼に物怖じする様子がないからか。少しだけ何かを堪えるようにしてその切れ長の目を私に向けてきた。
『……三年C組、鈴宮A……転校生だね』
『えぇ！今日から風紀委員としてお世話になりますわ、ヒバリくん』
『………………』
彼は手元の書類を見てから、私を頭のてっぺんからつま先まで軽く一瞥すると、はぁ、と溜息をつき、ぽすりと背もたれに背を預けた。
『……まぁいいや。お茶でも淹れてよ』
気が抜けた、とでもいうような表情で私にそう言い放った彼。涼しい顔をしているけれど、部屋のドアを開いた先──廊下には、彼に"やられた"であろう傷だらけになった生徒たちが重なっていた。
『………………』
──目の前に人が連なって、倒れている光景。確かに、普通の中学生が見たら恐ろしく感じるわ。自分も殴られるかもしれない、って。皆、これを見てヒバリくんを怖がっているのかしら。
『はい、喜んで』
( "ちりん。" )
彼に指さされた戸棚を確認すべく、彼の机の前を横切ってそちらに向かう。戸棚の中をひっかき回して、急須や茶葉を用意して。奥の方にある湯呑みに手を伸ばしながら、後ろで欠伸をしているヒバリくんをちらりと見た。
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もも(プロフ) - まーぶりんさん» コメントありがとうございます。お褒め頂き光栄です。私自身気に入っていない部分が多い為近々大型修正が入るかと思いますが、それまで今の本作品を楽しんでいただけますと幸いです。 (2021年9月20日 6時) (
レス) id: f920ea46f5 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - 初めて読んだ感じの小説で，凄く面白かったです！続き楽しみにしています！更新頑張ってください！！ (2021年9月19日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もも | 作成日時：2021年9月12日 15時
