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それからしばらくして俺はスタッフの方に呼ばれ
会場へ向かった
その会場の大きな扉の前には
父さんが立っている
｢父さん……｣
父｢おめでとう、ユンギ｣
｢うん……
どうしよう…俺、
こんな幸せでいいのかな……｣
父｢ははっ、良いんだよ
辛い思いをしたぶん、幸せになりなさい｣
｢っ、ありがとう……｣
出そうになった涙を閉まって
父さんと会場の中へ入る
奥にはそっと俺を見据えるAが見える
相変わらずかっこよくて腹が立つ
あそこまでの道が
俺らの過去をなぞるように続いているような気分で
Aに一歩ずつ近づく度に
色んな思い出が蘇る
一緒に曲を作った音楽室も
鼻歌を歌って帰った帰り道も
俺らの家や
俺らに起こった様々な出来事も
これからもこの道が増えていくって考えるだけで
嬉しくて泣きそうになる
父さんと別れ
Aの元へ近づく
Aは父さんと目を合わせると
頷いて俺の手を引いた
誓いの言葉に
指輪の交換
声は震えそうになるし
手は震えてたし
緊張し過ぎてAに静かに笑われる始末
俺らだけの結婚式だとしても
みんなの前で
永遠の愛を誓うというのは
恥ずかしいし照れくさい
それに、誓のキスなんて……
〈それでは…誓のキスを〉
A｢ユンギ……｣
動かない俺に
Aがにやけて声をかける
A｢恥ずかしい？｣
｢うるさい……｣
A｢ふふ｣
｢ぉわっ、んっ｣
わああああ〜と歓声が広がる
｢バカっ｣
A｢いいじゃん｣
俺を持ち上げて
俺の顔にかかるレースを
ぱっと剥がすと
ちゅっとキスをしたAに
俺は真っ赤になりながら怒るけど
周りもAも
それどころじゃないくらい
幸せそうな顔をするから
俺も泣きそうになりながら
結局は笑ってしまった
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作者名：BINA
| 作成日時：2024年2月22日 5時
