29 ページ29
.
適当に薄着を羽織って外に出ると
寒すぎて体が震えた
だけどその冷たさも
僕にはぴったりかもなんて思いながら
震える足で
軋んだ階段を降りて
そのままいつものホテルへ向かった
そこの前のガードレールに座って
はぁ、と息を吐くと
白い息が目の前を包む
その息が消えそうな時
走ってくる音が聞こえた
A｢はぁっ、はぁっ｣
ねぇ、君はさ
なんでそんな必死に来るの
別に僕としたくてたまらないわけじゃないんでしょ
なのに
なんでそんな必死に
僕の元へ走ってくるの
それに、なんで
なんで僕はそれに
嬉しいとか
思っちゃってるの
A｢はぁ｣
息を吐き終わった彼は
僕を見て慌てて自分の上着を脱いで
僕に被せてくれた
A｢な…｣
多分僕に少し違和感を感じて
話しかけようとした彼
僕に上着をかけたままの
僕の両肩に置いてある手が暖かくて
目の前にある胸に
どうしても近寄りたくて
ゆっくりと胸に寄りかかって
胸に額をつけた
｢……｣
A｢寒い…？｣
僕を抱きしめて摩ってくれる彼に
酷く涙が出そうになった
さっきまで生理的な涙を流して
目も腫れまくっていて
開けたくないくらい目が痛いのに
また溢れてきそうなそれを
頑張って押しとどめた
今日はこの
優しくて暖かい腕の中で
眠って何もかも忘れたい
今日だけでいいから
お願い…
早く僕を
優しい行為で上書きしてよ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
BINA(プロフ) - 水仙さん» ありがとうございます( *´﹀`* ) (12月4日 22時) (
レス) id: f6bd38b9cb (このIDを非表示/違反報告)
水仙 - 面白すぎます！！！！！！、 (12月4日 20時) (レス) id: 48d71faf73 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：BINA
| 作成日時：2023年12月1日 0時
