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「Aさんは、どうやって第二性を気にせずにいられるんですか」
A「気にしてないわけじゃないんだけど
その人自身を見るようにしてるから」
「その人自身……」
A「そう思うようになったのは
そうしなきゃって思うようになったのは
親友のジホの存在でね」
「ジホ…さん」
A「親友で幼馴染だった」
「だったって……」
A「亡くなったんだ
第二性が判明したその日に」
「え……っ？」
Aさんはその日の事を
事細かに、苦しそうに教えてくれた
俺も聞いてくうちに
どんどん胸の奥が抉られるような感覚があって
辛かった
これからがある未来を
自分から無くしてしまった彼は
どんな気持ちで腕を切ったんだろう……
俺が踏み入れなかった
死の道は、俺よりも辛かったに違いない
それに
それを目の当たりにしたAさんは
もっと辛かったに違いない
A「ジホは本当に良い奴だったから
気付けなかったのも、親友を亡くしてしまったのも、助けてやれなかったのも
全部に後悔したし
あの時俺がΩだったら、ジホは死ななかったのかなとか、色々考えたよ」
「A……さん」
A「ふふ、辛い話しちゃってごめんね」
「いえ…」
A「まあだからさ
Ωだからって世間から圧力を受ける人を
俺は大切にして、助けたいって思ったんだよね」
「そう、だったんですか…」
A「ユンギくんも、大切にしたいから
抱かなかったんだ」
「っ」
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作者名：BINA
| 作成日時：2023年9月20日 0時
