〝運命〟ということ【YG】 (ページ36)

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A｢よし、ありがとう｣

｢あの…｣

A｢いつか話すよ…
このお礼もちゃんとする…
本当、助かった｣

力なく微笑むAさんは

俺の手をぎゅっと握って離すと

立ち上がる

A｢ユンギくんも頑張ってるんだから
俺も頑張らないとね
クヨクヨしてられない｣

そう言って伸びをするAさんは

振り返るといつもの笑顔で微笑んだ

A｢帰ろっか
送ってくよ｣

｢…はい｣

大人しく頷くことにして

二人で帰りの道を歩き出す

｢あの…これだけは聞いてもいいですか｣

A｢ん？｣

｢なんで、この駅の近くに…？｣

A｢あ〜、ふ、なんでだろ
なんかぼーっとしてて
いつの間にかここにいた｣

｢ぇ…｣

A｢一年のこの日はね
ちょっと不安定になるんだ｣

｢その理由は
教えてくれないんですよね｣

A｢今はね？｣

ふふ、って笑うAさんは

やっぱり読めないな、と思う

いつかその話が聞けるように

Aさんのナムジュンくんがいるような枠に
入れないかな、なんて

思ってしまっている俺は

何なんだろうな…

｢ありがとうございました…｣

A｢うん
また再来週ね｣

｢はい｣

A｢おやすみ、ユンギくん｣

｢おやすみなさい…｣

お辞儀をして

去っていく背中を見送る

まだ少しふらついて

俯いているAさん

どうにか元気にしてあげたいとか

人見知りで人と関わるのが苦手で

αが特に苦手な俺が

変なことを考えるよなと

自嘲しながら家へ入った

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