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「離せよ」
〈なんでよ〜少しくらいいーじゃん♡〉
〈絶対Ωでしょあんた〉
〈匂いがそう
俺ら勘がいいからさぁ〜〉
こんなこと、今まで生きてきて
何回もあった
その度に、恐怖を感じていたけど
今となっては慣れのせいもあってか
イライラの方が勝つ
大抵大通りに差し掛かれば
諦めるやつらが多いから
すぐに大通りに早歩きで歩く
〈肌も白いしまじ綺麗じゃん？〉
〈そんな綺麗な白い肌見たことないし！〉
〈やったことあんの〜？
αのフェロモン知ってたら欲しくならない？〉
生憎だが、俺は今まで誰とも体を重ねたこともないし
重ねたいと思ったこともない
そのまま歩き続けつつ
腕を払ったりしている最中
俺は大事な強力抑制剤を落としたのに
気づくことはなく
逆にそれに気づいたチンピラが
嫌な笑顔を作ったのも
気づけなかった
俺はヒートが普通のΩより強く長い
そしてフェロモンの匂いも強いらしい
そう、医者に言われ
強力な抑制剤を、ちゃんと持ち歩いている
〈ちっこのっっ！！〉
「っぐっ」
無視したりして歩いていれば
我慢の限界が来たのか
俺を思い切り壁に押付けた一人
ここはまだ大通りに近くない
人が疎らな場所だし
こんな修羅場、避けたいに決まってるから
どんどん人が掃けていって
3人と俺の4人だけになる
誤算だった
もう少しで大通りだし
軽い気持ちでナンパしてきたんだろうから
すぐ諦めると思っていた
でも、この感じ……
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作者名：BINA
| 作成日時：2023年9月13日 0時
