〝運命〟ということ【YG】 (ページ30)

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「Aさんは…」

A「その話はまた今度
酔ってるでしょ？今日はゆっくり帰ろう」

そう言って優しく手を引くAさんは

まだ話のその先を

教えてくれることはないのだろう

少し突き放された気がして

胸がズキっと痛むのに

触れた手が暖かくて優しいから

そんな気持ちもすぐ消える

「Aさん」

A「ん？」

「いや、なんでもないです」

A「ふふ、どうしたの
本当に酔ってるね？」

「少し……」

Aさんを呼ぶと

Aさんの優しい瞳が俺を捉える

その瞳に写っていたいなんて

相当俺は、酔っているだろうな

A「家まで送っていこうか？」

「大丈夫です…」

A「いや、ふらついてるし
また連れ込まれたりしたら嫌だよ？」

「……」

確かに…今ナンパされたりしたら

多分振り払う力は無い

A「ふ、送るよ」

「ありがとう…ございます」

なんでこの人はこんなに優しいんだ

俺にだけ優しいわけじゃないのに

なんで、特別扱いされているような気分になってしまうんだろう

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