〝運命〟ということ【YG】 (ページ23)

今日:18 hit、昨日:82 hit、合計:67,457 hit

23 ページ23

.

会議が終わって

いつの間にかぼーっとしていたのか

会議室には俺とAさんの二人

｢あれ……｣

A｢ジミンくんには、ユンギくんが企画の事で頭がいっぱいだからそっとしてあげてって言われたんだけど｣

会議室の机に腰掛けるAさんは

俺の目の奥を覗くように目を合わせる

A｢何か違う気がして｣

｢……なんで分かるんですか｣

A｢勘？｣

｢そう……ですか｣

取り繕っていたはずなのに

なんでこの人は気づくんだ…

A｢あとは、その傷、かな｣

｢あぁ……｣

あの日

ジハニヒョンのお見舞いに行った日

その日もヒョンは

看護師さんやお医者さんに怯えていて

物や食べ物を投げるから

抑えるために近づいて

抱きしめたけど

俺だと分からなかったみたいで

身体中を引っ掻かれた

襲われた時も

こうやって抵抗して

それでも、無理やり……

なんて思って

何度も声をかけて

やっと俺に気づいたヒョンは

不甲斐ない自分に打ちひしがれて

涙を流し、そのうち寝てしまった

ヒョンが治る兆しがなくて

俺もどうすればいいか分からなくて

ヒョンのお見舞いのあと

傷の手当をする気力もなく

ベッドに沈んだ

A｢何かあったなら……
話聞くけど｣

そう言って優しく笑ってくれるAさんに

どう話せばいいかわからなくて

｢大丈夫です……｣

と、呟いた

.