〝運命〟ということ【YG】 (ページ17)

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A｢どうせ近道くらい良いだろうって
裏道通ったりしてるんでしょ｣

｢な、なんで分かるんですか｣

A｢んー、気が強そうだから？｣

｢そうですかね、｣

A｢まあとりあえず信用出来ないし
駅まで送ってくよ｣

｢え、いいですよ
申し訳ないです｣

A｢心配なんだよ
迷惑なら、ごめんだけど｣

｢いえっ迷惑なんて｣

A｢よしじゃあ帰ろうか｣

｢え、あっ｣

なんか、嵌められた気がするのは

気のせいだろうか…

手を引かれるままに会議室を出た

A｢あれから絡まれたりしてない？｣

この人はずっと心配してくれるな…

｢あの…この一年
あなたは…その、俺のこと…｣

A｢忘れたことは無いよ
どこか気がかりだったし｣

｢っ｣

A｢心配だったよ
また絡まれてないかな、とか｣

｢あの日からもっと気をつけるようになったので、大丈夫でしたよ｣

A｢そっか、なら良かった｣

そう言って頭を撫でられ

肩がピクっと上がる

A｢あ、ごめん、つい｣

｢あ、いえ
怖いとか嫌とかじゃなくて

驚いただけなんで…｣

A｢あぁ、なら良かった｣

少しだけ

ほんの少しだけ

あの時俺に触れた手なんだなって思ってしまって

心臓がバクバク音を立てた

なんせ、この一年

その手を思い出して一人でしてしまっていたんだから

A｢大丈夫？｣

頬に触れた手が暖かくて

上をむくと優しいAさんの顔

｢だ、だいじょうぶです｣

なんだろう

この包容感というか

安心感というか…

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