最強と謳われる貴方は愛を知らない (ページ15)

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愛を知らない君へページ15

？？side
“粗末な服”

“汚い髪”

“愛されなかった子”

“いらない子”

“あんな子死ねばいいのに”

第9に来た時からお嬢様は1度も笑ったことは無かった。

ただ単に俺がお嬢様と一緒にいる時がなかったからかもしれない。

だが記憶にあるのは何時も悲しそうな顔をして何処か遠くを見つめているお嬢様の横顔だけだった。

何をしてもそれが当たり前だと思っていたと知った時はとても驚いた。

自分の首を刃物で切り落とそうとした時出さえ。

『………どうして止めるの？みんな私に死んで欲しいんだって。だから私が死ぬの。そうすれば皆笑顔になれる。幸せになれる』

どうして自分で死ぬのがダメって分からないんだ？最初はそう思った。

だがその後よくわかった。

お嬢様は愛される事なく育てられてきたのだと。

それからお嬢様は白桜が面倒を見ることになった。

文字の書き方は勿論の事、料理の作り方、裁縫の仕方、洗濯物の洗い方から暗殺方法なんかも教えられていた。

俺はお嬢様の毒味役兼お目付け役。

言うなればお嬢様を守って死ぬ騎士の様な存在。

だが白桜がいない時は俺が勉強を教えていた。

俺が教えている時よりも白桜が教えていた時の方がよく笑っていた気がした。

だがどれだけ教えても食事だけは直らなかった。

幾ら沢山の料理を並べてもお嬢様が口にするのはコップ一杯の水とパンの欠片だけ、しかもそれを3日に1回。

第1の奴らに聞いたところ第1でもそうだったらしい。

親の呪縛に縛られながら生きるお嬢様はまるで大量の鎖に繋がれた意思の無い人形のようだった。

その時から決めたんだ。

傍で護れないのならお嬢様に近く邪魔者を排除すれば良いと。

そうすればお嬢様はこれ以上苦しまずに済む。

？？「お嬢様もう少しだけ待っていて下さい。必ず俺たちが助け出します」