【wrwrd】伝説スナイパーの後継者２【ci】 (ページ8)

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聞けない理由ページ8

幼き師が大の男を打ち負かしては、手合わせ後に何かを話している。
恐らくアドバイスをしているのだろう。

いつもなら自分が立っている場所に別の誰かが立っている。

それを見ていると何故だか胸が苦しくて。
結局チーノは耐えられなくなって、視線を逸らし、書類に手を付け始めた。

「…あいつ、ガラじゃないのになんで引き受けたんやろ」

手を動かしながら、チーノがポツリと呟いた。

「気になるんやったら本人に直接聞いたらええやん」
「…まぁ、そうやねんけど」

トントンのごもっともな意見に、ぐうの音も出ないチーノ。

「…いやでもよう考えてみ！？もしこれで『チーノさんがなかなか上達しないので、他の人を育ててみたいなと思いまして』とか言われたら俺泣くでホンマに！！」

涙目になりながら必死に訴えるチーノを見て、トントンは心の中で、こいつホンマに小心者やな、と思ったが、あえて口には出さなかった。

「そんなこと思うような子ちゃうやろ。いらん心配せんでええから仕事せえ」
「いや冷たすぎるやろ！というかそもそもトントンが兵の要望通すからこんなことになってんねんで！大体あいつら自分らの隊の隊長がおるやん！やのになんでAが指導せなあかんねん！」

ワーワー騒ぎ立てるチーノに、トントンは顔をしかめる。

しかし、チーノが言ってることは的を得ている上に、Aとチーノの関係を知っていて要望を通したことに罪悪感もあったので、トントンは仕方なく、諸々の事情を説明することにした。