【wrwrd】伝説スナイパーの後継者２【ci】 (ページ40)

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生死の相棒ページ40

バァ…ン…

「――――一丁のピストルは、自身の生死を分ける。ならば『相棒』と呼んでも、それは過言ではないだろう」

Aをしっかりと抱き込んだはずなのに、その腕の中に温もりは無く。
来るであろう刃の痛みも感じられず、聞こえてきたのは銃声だった。

そっとチーノが目を開くと、最初に視界に映ったのは、自分に背を向けて立っているAの姿。

チーノは『伝説』に会ったことは一度もない。
しかし何故か、その姿が『伝説のスナイパー』、ウィル・テリアムと重なって見えた気がした。

「…ウィルの言葉です」
「…？……あぁ、そういうこと…」

振り返ったAの手には、一丁のピストル。

一瞬、Aが何の話をしているのか理解できなかったが、すぐに武器屋で話した『相棒』と呼んでいた理由について話しているのだと分かって、チーノは苦笑を零した。

「かっこええなぁ…お前」
「？ですから、先程の言葉は私のものではなく、ウィルの…」
「うんうん、ウィル・テリアムもかっこええな。…けど、お前自身も、十分かっこええよ」

チーノがAの頭に手を乗せ、ニッと笑ってみせる。

「…でしたら、チーノさんもカッコよかったですよ」
「ん？」
「私を庇ってくれたチーノさん、カッコよかったです。ありがとうございました」

優しい笑みを浮かべ、礼を言うA。
思わずきゅんとしてしまうチーノだったが、結果的にAに守られてしまったので、その顔に影が差した。

「おーいチーノ―！どこやー」

一階の方から聞こえてきたゾムの声と、複数の足音。
兵を引き連れてきたのだろう。

「では行きましょうか、チーノさん」

Aは置いてあったライフルを手に取り、チーノに向かって自然に微笑んだのだ。