【wrwrd】伝説スナイパーの後継者２【ci】 (ページ39)

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迫りくる刃ページ39

「…本当に、お怪我はないのですね？」
「うん、ありがとぉ。助けに来てくれて」

少ししてAがチーノの体をあちこち調べながら尋ねると、チーノは微笑んで礼を言う。
その笑顔を見て、Aはほっと安堵の息を零した。

「では、これからどうしましょうか」

Aが振り返り、倒れている男たちを見つめる。

「殺してはないんやろ？」
「はい、気絶させてるだけです。あまり時間も経たない内に目を覚ますと思います」

チーノが男たちに近付き、傍らにしゃがみ込む。
Aもその横にしゃがんで、一人の瞼を持ち上げた。
見えた瞳の色は茶。

「『翡翠の一族』じゃ…ない…」

横で見ていたチーノが驚く。

これでAが罪の意識を感じる必要はないと考えたのだろう。
その表情には少しの喜びが浮かんでいた。

しかし、Aは無表情のままそっと手を放す。
チーノはその横顔が何かを思い詰めているように見えて、思わずAの肩に手を置いた。

「何かあったん…？」
「…いえ。とりあえずこの方たちをどうにかしましょう。上の部屋に縄がないか見てきます」
「ん、よろし…く…」

立ち上がり扉の方へと歩いていくA。

男たちの素性を探る為持ち物を漁っていたチーノの脳裏に先程の男たちの会話がよみがえった。

『あいつらまだ帰って来ないのかよ』
『他の奴らが戻ってきたらこの建物ごと爆破しちまえばいいだろ』

「…っ！A！！」
「はい？」

他にも人間が来ることを思い出したチーノは、咄嗟にAを呼び駆け出した。
呼ばれたAはドアノブに伸ばしかけていた手を止め、振り返る。

チーノが庇うようにAを抱きしめた瞬間、扉が開きAに向かって鋭利な刃が振り下ろされた。