【wrwrd】伝説スナイパーの後継者２【ci】 (ページ33)

今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:20,599 hit

拒絶の言葉ページ33

炎の街を駆ける人々の流れ。
屋根の上に立ち尽くし、ぼんやりとその光景を眺めていたAは、見知った顔を見つけて我に返る。

そして無意識の内にその場から駆け出していた。

「しんぺい神さん！」
「ん？…なんや、今Aちゃんの声が聞こえたような……うわっ！？」

上から降ってきたAに、驚きの声を上げるしんぺい神。
しかし、すぐに状況を思い出し、真剣な顔でAと目線を合わせた。

「山に帰ったんやなかったん？ちゅうか何で一人でこんなとこうろついてんの？チーノは？」
「帰る途中で用事ができましたので、先程まで城下町のはずれにいました。爆発音を聞いて、ここに。そこでチーノさんと別れました。『城に避難するように』と」

落ち着きを取り戻したのだろう。
いつものように淡々と事情を説明するA。

話を聞いていたしんぺい神の表情は、段々と険しくなっていった。

「チーノに避難するよう言われたんやったら、何でまだここにおるん？危険やからはよ…」
「ですが、怪我人が多いのでしょう。私なら多少お力になれると思いますが…」

Aがチラリとしんぺい神の後方に視線を向ける。

Aの言った通り、怪我人が多いのだろう。
医療部隊の隊員たちが、せわしなく動き回っている。
怪我人を運び込んでは手当てを行っているようだ。

「経験は少ないですが、幸いウィルに教えられて知識なら持っていますので。応急手当くらいなら私でも…」

「あかん」

ゾムの時と同じ、圧のある低い声。

はっきりと拒絶の言葉を向けられて、Aは拳を固く握りしめた。