【wrwrd】伝説スナイパーの後継者２【ci】 (ページ32)

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師匠が選んでくれた物ページ32

ゾムのいった通り、Aと別れた直後、二人のインカムに伝達が入る。

『暗殺部隊の兵士から連絡が入った。ついさっき裏通りの方でマントを深く被った人間が数名うろついとったらしいわ。近くの幹部はすぐ裏通りに向かってくれ』

インカム越しに聞こえてきた、通信部隊隊長のロボロの声。
いつもの少し間延びした口調ではなく、機械的な話し方に、チーノは更に緊張を煽られた。

「裏通りなら俺たちが一番近いやろな。…行くで、チーノ」
「！…っはい、ゾムさん」

ゾムが向きを変え、別の建物の屋根に飛び移る。
チーノは、以前なら一度下に下りていただろうそれを、同じように飛び移った。

(…あ、ホンマや。今まで自分じゃ気付かへんかったけど、俺、ちゃんと成長してんねやな)

不意に自身の成長を自覚し、チーノは心の中でAに感謝する。

そのおかげか、少し緊張が解け、視野が広くなり、視界の端に怪しい人影を捉えた。
バッとそちらに顔を向けると、向こうもその視線に気づいたのだろう。
マントを深く被った複数人が、近くの建物内へ隠れた。

「ゾムさん、今あそこに人影が…」
「わかった。チーノは下おりて向かってくれ。俺はちょっと回って反対側から行く。…挟み撃ちするで」
「はい！」

ゾムがスピードを上げ、更に別の屋根へと飛び移っていく。

それを見届け、チーノは懐から一丁のピストルを取り出した。

「頼りにしてんで、相棒」

そう語りかけ、チーノは地面へと下り立った。