楽しき時の終わり ページ30
Aや店長の助言を聞きながらチーノが一つのピストルを選んだ時には、既に日は暮れていて、空では星が瞬き始めていた。
「うわっもう外真っ暗やん！全然気づかんやった」
「悪かったなぁ、結局こんな時間まで引き止めちまって…」
「いえ。こちらこそ長居してしまって申し訳ありませんでした」
バタバタと荷をまとめ、外へ飛び出すチーノとA。
2人を見送る為に、店長も外へ出てきた。
「A、もうこんな暗いし今日は城に泊まっていったら？危ないし」
「そうですね。そちらが問題ないようでしたらそうさせていただきます。…店長、今日はありがとうございました」
「俺も！お世話になりました！Aの昔の話とか聞きたいし、また来てもええ？」
Aが店長に会釈すると、それにならってチーノも同じように会釈をする。
その光景が微笑ましくて、店長は思わず笑ってしまった。
「おうよ。アンタとは長い付き合いになりそうだからな。好きな時に遊びに来な。…A嬢ちゃんも、こっちへ頻繁に来てるなら店に顔くらい出してくれ。茶なら出せるからよ」
「…ですが、買い物の予定もないのにご迷惑になるのでは」
首を傾げながらAが伺うと、店長は肩をすくめた。
「元々そんな賑わってるわけでもねぇから、気にすんな。…なにより、昔に比べてウィルさんの話をする相手も、ずいぶん減っちまったからな」
そう話す店長はやっぱりどこか寂しそうな眼をしていて。
Aは無意識の内に拳を強く握りしめていた。
「では、また近い内に。次はお土産を持ってきますね」
「……ははっ、普段はそういうの断るんだがな。嬢ちゃんが言うなら楽しみにしてるぜ！んじゃ、二人とも気を付けて帰…」
ドォォンッッ！！！！！
―――一瞬、何が起きたのか理解できなかった。
しかしすぐにそれが爆発音だと気づき、三人は音のした方を振り返る。
目に映ったのは、赤く燃え上がる、我々国の城下町だった。
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作者名：Blue Berry | 作成日時：2020年12月10日 15時
