弟子の相棒 ページ29
それから大して時間も経たない内に、ガチャガチャと音を立てながら店長が戻ってくる。
「はい、おまちどう！ライフルの弾30発分と、クリーナーにオイル。それから…」
言いながら次々に商品をテーブルに並べる店長。
一通り並べ終えると、店長はチーノを見てニヤッと笑った。
「…そして、あんたの相棒候補だ。好きに選びな」
チーノの前に恭しく布が敷かれ、丁寧にピストルが置かれていく。
「えーと…俺もう実は手持ちがそんな無いんやけど…」
「お金のことは気にしないで下さい。それは私からのプレゼントなので」
気まずそうにチーノが口を開くと、Aはチーノの横に立って、ピストルの品々を覗き込んだ。
すると、慌ててチーノがAを振り返る。
「そんなカッコ悪いことできるわけないやん！」
「気にしないで下さい。これはネックレスのお返しなんですから。それに、このお店の商品は一級品ではありますが、金額はとても良心的なんですよ」
店長が得意げに笑ってみせる。
しかし、チーノは眉間にしわを寄せたまま、頷こうとはしない。
「…オスマンさんが仰ってたんです。プレゼントはその人の好意そのものだから、それを拒否するのはその思いを無下にするようなものなのだと。だから、どうしても気が引けるようなら、代わりにお返しをしてあげたらいいのでは、と」
「私の師匠は、私の好意を無下にするのですか？」
「……お前、それは卑怯やろ」
首を傾げるAに、チーノは頭を抱える。
そこでAが素直にプレゼントを受け取った理由に合点が行き、チーノはオスマンを呪った。
「…無下になんてせぇへん。できるわけないやん。……ありがとうA。大切にするから、俺の相棒、一緒に選んでくれる？」
困ったように笑いながら、チーノがAを見上げる。
Aは微笑んで
「はい、もちろん」
と答えた。
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作者名：Blue Berry | 作成日時：2020年12月10日 15時
